100%を目指してはいけない理由
そして、このルールの真骨頂は、後半の「70%を超えて集めるな」という部分にあります。
なぜ、100%を目指してはいけないのでしょうか。
パウエル氏は、70%以上の情報を集めようと努力している頃には、好機はすでに失われている、と指摘します。
変化の激しいビジネスの世界や、一刻を争う戦場では、完璧な情報を待っている間に、競合他社や敵はすでに行動を起こし、状況は刻一刻と変化してしまっているのです。
ここで認識しておきたいのが、「スピード・アキュラシー・トレードオフ」についてです。
これは、速さを上げると精度(正確性)が犠牲になり、逆に精度(正確性)を高めると速さが犠牲になるということです。
同様に、決断のスピードを上げれば精度は下がり、精度を追求すれば決断のスピードは犠牲になります。
このトレードオフの中で、リーダーの決断が効果的となる情報量は40%から70%の間であると主張しているのが、このルールなのです。
他にも、Amazon創業者のジェフ・ベゾスは「ほとんどの意思決定は、自分が欲しい情報の70%程度で行われるべきだ。90%まで待つと、ほとんどの場合、おそらく遅いと言える」と述べています。
コストが価値を超えたら集めるな
コリン・パウエルの40-70ルールは、個人の経験則ではあるものの、「情報価値理論」という考え方によって、ある程度裏付けることができます。
情報価値理論とは、「その情報を得るためにかかるコスト(時間や労力)」と、「その情報を得ることで、決断の質がどれだけ向上し、利益が増えるか(情報の価値)」を天秤にかける考え方です。
そして、情報価値理論の基本的な結論は、「情報の価値が、その情報を得るためのコストを下回ったとき、情報収集は打ち切るべきである」というものです。
完璧な情報を求めてしまうと、まさにこの「コスト>価値」の状態に陥ってしまい、意思決定が遅れてチャンスを失うことにもなりかねません。
情報収集をどこで止めるか、という「見切り」もまた、重要な決める力の一部なのです。
普段の仕事でも、ぜひこのコリン・パウエルの40-70ルールを意識してみてください。たとえば、資料を作成するときなど、どこまでも徹底的に情報を集めるのではなく、方向性が決まり、なおかつ価値を出せると思ったタイミングで情報収集をストップしましょう。
思考の負担を軽くするためには、情報の「集めすぎ」を意識的に避ける必要があります。
40%から70%の情報が集まったとき、あなたはもう決断を下す準備ができています。残りの30%は、あなたの直感と勇気、そして実行しながら修正していく柔軟性で埋めるのです。
完璧な情報など永遠に手に入らないと割り切り、好機を逃さない。それこそが、現代のビジネスパーソンに求められる決める力なのです。

