睡眠が洞察を生む60%対25%の差

さらに、無意識思考がなぜ有効かを考えるうえで、「寝かせる」という言葉の通り、睡眠という観点も無視できません。

書影
中村一也『すぐ決められる人がうまくいく』(明日香出版社)

複雑な問題に取り組む際、一度思考を中断して睡眠を挟むことで、脳が自然と情報を整理し、翌朝には前日まで見えなかった関係性や新たな視点が浮かび上がってくることがあります。

実際に、睡眠によって直観的な洞察が生まれやすいとも言われており、創造性や問題解決力を高める重要なプロセスと考えられています。リューベック大学のウルリッヒ・ワグナーは、睡眠が「ひらめき(洞察)」にどのような影響を与えるかを調べる実験を行いました。そして次のような3つのグループに分けました。

①夜に課題を解いて睡眠をとったグループ
②夜に課題を解いて徹夜したグループ
③日中に課題を解き、睡眠を挟まなかったグループ

実験の結果、睡眠をとったグループ(①)の約60%が課題を解くための「規則」に気づくことができ、睡眠を取らなかったグループ(②③)で気づけた人は約25%だったのです。

つまり、判断を「寝かせる」という行為は、単なる時間稼ぎではなく、脳の無意識的な処理能力を活用する戦略的なアプローチなのです。

「行き詰まったら机を離れる」が正解

もしあなたが、今、難しい問題で行き詰まっているのなら、勇気を持って一度その問題から離れてみてください。

散歩をする、音楽を聴く、仮眠をとる。何でも構いません。あなたの脳の無意識領域に、仕事を委ねてしまうのです。

「未完了のタスクが気になってしまう」というツァイガルニク効果がありますが、未完了のタスクの存在により脳のリソースを一部使ってしまうということは、デメリットになり得ます。

しかし、このデメリットはメリットにもなりうるとわかります。

難しい課題に関しては、ツァイガルニク効果と無意識思考を利用し、「熟慮」という時間をかけずに問題を解決してしまおうという戦略が存在するのです。

「意識的に考え続けること」だけが、思考ではありません。

意図的に「考えない時間」を作り、思考の負担を軽くすることこそが、あなたを良い結論へと導くコストパフォーマンスの良い優れた思考法なのです。

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