「自分が死んだら適当に火葬して」は甘い

単なる回収ではなく、見守りの意味もあり、しばらくゴミが出ていない場合には安否確認も行われます。要介護認定を受けていれば、訪問介護の中でゴミ出しや掃除、買い物代行をお願いできる場合もあります。また、自治会やNPOなど、地域コミュニティが独自に支援していることもあります。

意外と「知らなかった」というだけで、使える制度があるかもしれません。相談先としては、市区町村の廃棄物担当部署や地域包括支援センターがあります。ゴミ出しなんて小さなこと、と思うかもしれません。でも、その“小さなこと”が、転倒事故や孤立、さらには健康悪化につながることもあるのです。

老後の安心は、大きな問題を解決することだけではありません。毎日のゴミ出しのような、ささやかな日常をどう安全に続けられるか。そこにこそ、現実的な備えのヒントがあります。

できれば考えたくない。でも、避けては通れないのが「死」です。人は必ず死にます。これは例外なしです。ときどき、「自分が死んだら、適当に火葬して、灰はどこかにパッとまいてくれればいいよ」なんて軽く言う人がいます。

でも、現実はそんなに簡単ではありません。

死後の手続きは生きているうちに行う

法律や自治体のルールがあり、“適当”では済まないのです。はっきり言います。死後事務は、めちゃくちゃ大変です。まず火葬ひとつとっても、「火葬許可書」が必要です。そのためには、住民登録している自治体に、死亡届や死亡診断書(場合によっては死体検案書)を提出しなければなりません。

女性の手で署名する契約書
写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです

遺骨も、好き勝手にまいていいわけではありません。法律で全面禁止というわけではありませんが、自治体ごとに細かいルールがあります。その前に、葬儀の手配があります。葬儀会社を決め、日程を決め、僧侶を手配し、式の内容を決める。想像以上に決めることが多いのです。そして葬儀が終わったら、それで終わり……ではありません。

公共料金の精算、携帯電話の解約、病院への支払い、遺品整理、相続の手続き。誰かがやらなければいけません。もう一度言います。死後の手続きは、とても大変です。

亡くなった本人は何も感じませんが、残された人には大きな負担になります。だからこそ、生きているうちに準備しておく意味があるのです。