会社のためではなく、自分のために働ける

現役時代って、誰のために働いていましたか? まずは家族ですよね。生活費を稼がないといけない。子どもの学費もかかる。住宅ローンもある。仕事でイヤなことがあっても、「もう辞めます」と簡単には言えない。

家族のために、踏ん張る。できれば少しでも給料が上がってほしい、と思いながら。それに、会社のため、という意識もあったはずです。会社が成長すれば、自分の評価も上がる。出世もできる。肩書きもつく。そうやって、家族のため、会社のために走り続けてきたのが現役時代です。

では、定年後はどうでしょう。子どもたちは独立していることが多い。もう学費を払う必要もありません。

再雇用になれば、多くは雇用期間が決まっている契約社員。正社員ではないのですから、「会社のために人生をかける」という発想を、少し手放してもいい。ここで大きな変化が起きます。定年後は、「誰かのため」よりも、「自分のため」に働くという感覚に変わっていくのです。自分がやりたいからやる。

「ありがとう」の言葉が胸に響く

自分の時間を充実させたいから働く。「やらされている仕事」から、「自分で選んだ仕事」へ。この違いは、思っている以上に大きい。さらに、転職や配置転換で仕事内容が変わることもあります。

ずっと本社の経理や営業管理など、いわゆる管理部門で働いてきた人が、定年後に現場に戻ることもあります。若い社員に直接教えたり、サポートしたり。「ありがとうございます」と言われる機会が増える。

これ、意外と胸に響くんです。以前お会いした方で、出版社の経理責任者をしていた人がいました。定年後は、資格をとって、介護のヘルパーになったそうです。まったく違う世界ですよね。でも、こう言っていました。「利用者さんから直接『ありがとう』って言われるのが、本当にうれしい」

管理部門にいたころは、直接感謝される機会は多くなかった。でもいまは、目の前の人の役に立っている実感がある。「人の役に立てている」と感じられることは、やりがいにつながります。そして、それはそのまま仕事の幸福度を押し上げます。

笑顔と花のクラスター
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