使わずに死ぬのは「タダ働き」のようなもの
相続人がいなくて、財産がそのまま国庫に入る。2024年度はその額が約1300億円になったそうです。10年前の約3倍です。これから団塊の世代が75歳を超えていきます。おそらく、この数字はさらに増えていくでしょう。でも、冷静に考えてみてください。自分の財産を「最終的には国にどうぞ」と思って貯めている人って、ほとんどいませんよね。本音はこうでしょう。
「自分のお金は、自分で使いたい」でも、おひとり様で相続人がいなければ、最終的には国庫に入ります。「三途の川も金次第」とは言いますが、三途の川までお金は持っていけません。一生懸命働いて貯めたお金を、ほとんど使わずに人生を終える。
ちょっと切なくないですか。そのお金、どうやって貯めましたか? 若いころから何万時間も働いて、コツコツ積み上げたお金ですよね。それをほとんど使わずに終わるということは、極端に言えば「タダ働き」したのと同じ、という見方もできなくはありません。
もちろん、お金があることで安心は買えました。でも、それだけでいいのでしょうか。子どもがいれば、「遺してあげたい」という気持ちもあるでしょう。それはとても自然なことです。ただ、財産を遺したことで、かえって相続争いが起きるケースも少なくありません。
80代の人が老後を心配するという滑稽
お金は人を助けることもあれば、揉めさせることもあります。そもそも「老後資金」というのは、老後に使うために貯めてきたお金のはずです。若いころから「老後に備えて」と言われ、2000万円必要だ、いや4000万円だとあおられ、一生懸命3000万円を準備できた。
「これで安心だ」と思ったはずなのに、いざ老後になると今度はこうなる。「いつまで生きるかわからないから、使えない」
結局、生活の質を落として年金だけで暮らし、老後資金はほとんど手つかず。年に一度くらい旅行に行けそうなのに、「もったいない」とやめてしまう。なかには、年金を使い切れず、資産が少しずつ増え、亡くなるときがいちばんお金を持っていた、なんてケースもあります。
笑い話みたいですが、現実にある話です。80代の方が真顔でこう言うこともあります。「老後が心配だから、もっと貯めないと」……いまが老後ですよ、とツッコミたくなりますよね。
1990年代に話題になった、100歳を超えて元気だった「きんさんぎんさん」。テレビ出演料の使い道を聞かれて、「老後のために貯金します」と答えたのは有名な話です。高齢になると、ますますお金を使えなくなる。

