愛はおまけであるサブ価値に隠す

もう一度、ディズニーランドやユニバーサル・スタジオ・ジャパンの沼の種を振り返ってみましょう。ゴミ箱の間隔、2つセットの水飲み器、奥に行くほど狭くなる道幅、地球の自転と逆回転の地球儀などでした。

これらの共通点が何か、わかりますか。

そう、どれもテーマパークのメイン価値ではないことです。

テーマパークのメイン価値は、アトラクション・キャラクター・パレード・飲食・土産物などであり、ゴミ箱や水飲み器と言う人はいないでしょう。沼の種は、メイン価値ではなくサブ価値に置くのです。

メインほど重要ではないからこそ、沼の種になるという逆説が成り立っています。

メイン価値だけの勝負では勝てません。それはあたりまえになってしまったからです。メイン価値は一定のレベルまでこだわり抜いた、愛を注いだというビジネスがほとんどなのです。これからは、愛はおまけであるサブ価値に隠すのです。

すでにメイン価値はこだわり抜いている。経営資源をそこに注いできた。次は進化したテクノロジーで時間を生み出し、サブ価値を向上させます。

これまでのこだわりの「深さ」に加えて、こだわりの「幅」を広げるのです。これが体験価値を大きく変えます。

消費者の期待値を簡単に上回る、意外な方法

商品・サービスが多様化し、それぞれがコモディティー化している現代でも、「探し求めていたもの」が購入できるのであれば、ただのファンにはなってもらえます。しかし、それがほかでも買えることがわかった瞬間、ただのファンは簡単に離脱します。

沼るファンになってもらうには、期待どおりでは駄目です。期待を大きく上回ってもらう必要があります。

ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのスーパーニンテンドーワールド
写真=Wikimedia Commons
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン内にある「スーパーニンテンドーワールド」(写真=Sergiy Galyonkin from Raleigh, USA/CC BY-SA 2.0/Wikimedia Commons

しかし、消費者の期待値が上がっている今では、メイン価値だけで期待を大きく超えることは、並大抵の努力では不可能です。世の中の商品・サービスの提供価値が高くなったからです。

しかし、簡単に期待を大きく上回ることができる方法もあります。それは、期待値の構造を理解して、ズレを戦略的に生み出すことです。

メイン価値とサブ価値では、消費者の期待値が違います。メイン価値である商品・サービスは、期待値が高いのです。そのため、期待値を超えることが難しくなっています。ただし、期待値を下回ることは許されません。

一方、サブ価値である人・接客・雰囲気・空気感・周辺要素などは、メイン価値ほど重要視されていないため期待値が低いのです。そのため、期待を超えることが簡単にできるわけです。