禅とイスラム神秘主義の意外な縁
禅という沈黙の中から寓意を読み取る点で、禅とイランのイスラム神秘主義には共通性があるとイランのハタミ大統領も2000年に来日した際に語っていたが、映画を通じて、日本とイラン、またアジアの世界が普遍的な精神性でつながっていることをキアロスタミ監督は教えてくれた。キアロスタミ監督と同様に、日本映画を称賛する声は他のイラン人映画監督たちからも聞かれる。
2015年8月、赤坂でイラン大使館主催の「平和と友好の映画祭」で上映された「霧と風」のモハマッド・アリタレビ監督は映画を制作する上で大事なことは「記憶」を遺すことだと語っていた。
アリタレビ監督は日本の黒澤明、溝口健二、小津安二郎などの巨匠たちの作風に大きな影響を受けたと語り、小津監督の墓参りに行き、そこに書かれてある「無」という文字を確認したいとも話した。
日本の現在の街を歩くと、スマホを操作する人が大勢いて、小津監督時代の情感が希薄になっているのではないかという指摘も監督からされた。作品の中でもっとも描きたいのは、家族間の愛情、人間愛などだという。イラン映画の佳作に描かれる家族愛、人生の無常観をあらためて確認する機会ともなった。



