視聴率90%、イランを覆った「おしん」
橋田壽賀子原作・脚本のドラマ「おしん」は、日本での平均視聴率は53%、最高視聴率は62.9%(1983年11月12日)で、日本のテレビドラマの最高視聴率を記録した。
日本でも人気があったが、イスラム諸国でも高い人気を誇っていた。1980年代末にイランに行くと、私たち日本人は「おしん!」とよく声かけられた。「おしん」はイランで視聴率90%も超えるような人気番組だった。
その頃、タクシーに乗ると、運転手から「『おしん』のストーリーの最後はどうなる?」などと聞かれた。イラン人たちは、「おしん」によって日本や日本人の好印象をもっているようで、「おしん」の貢献や功績は大きかった。橋田壽賀子さんはイランなど世界の日本人に対する良好なイメージをつくった最大の功労者と言っても過言ではないだろう。
1980年代、イランはイラン・イラク戦争を戦い、大変な困難にあった時期だ。イラン側の戦死者は少なくとも20万人、家族、親族、友人を亡くした人も少なくなかった。革命と戦争で経済状態はよくなく、テヘランの街で両替し、100ドル札を出すと、ずしりと重い、現地通貨のリアルの束が返ってきた。イラン人が苦難や窮乏に耐え、家族を戦争で失い、家族的結びつきを特に大事にした時期に「おしん」はイラン人の間で受け入れられた。
「一休さん」が聖職者に評価されるワケ
「おしん」で表現されていた日本人の優しい情感は、弱者の救済を説くイスラムの人々に評価された。1980年代にイランに行って街を歩くと、「ジャポン、ヘイリー・ホベ(日本はとてもよい)」などと声をかけられることが多かったが、これも「おしん」のお陰だと思わざるを得なかった。
また、イランでは、アニメ動画サイトで『アルスラーン戦記』25話すべてがペルシア語字幕付きでアップロードされ、イランの若者たちの間で人気を集めた。物語に登場する名称は基本的にペルシア語で表されるが、19世紀のイランで書かれた『アミール・アルサラーネ・ナームダール』(「名高き王アルサラーン」の意)という英雄叙事詩が題材となっている。
ペルシア語に訳された『アルスラーン戦記』は舞台設定も古代イランで、その動画のコメント欄には「日本人よ、イランの歴史を描いてくれてありがとう」「自国の歴史と文化に誇りを持てた」などの肯定的な評価を得ていた。
イランでは日本のアニメは人気があり、イスラムの国であるにもかかわらず「一休さん」は子どもたちや大人たちから支持を得ている。一休さんが誰も傷つけることなく、平和的に解決を見出すところが、支配階級である聖職者からの評判も良い理由だそうだ。

