後手後手の規制策
監督する総務省も、手をこまねいていたわけではない。
まず2015年4月、自治体に、返礼品に商品券やプリペイドカードなど「資産性の高い品物」の提供を自粛するよう要請した。
次いで17年4月には、返礼品の調達額を寄付金の3割以下とする「3割ルール」を導入した。
しかし、要請レベルではルールを逸脱する自治体が後を絶たず、19年6月に地方税法の改正に踏み切り、「3割ルール」に加えて、送料やサイト手数料を含めた総経費を寄付金の5割以下とする「5割ルール」と、返礼品は地場産品に限るという「地場産品ルール」を法制化。合わせて、ルールを守らない自治体をふるさと納税の対象から外す「懲罰」も組み込んだ。
その後、23年10月に、「5割ルール」の適用を厳格化し、ワンストップ特例の事務費や寄付金受領書の発行・発送費などの「隠れ経費(簿外)」も総経費に含めることになった。
さらに、25年10月からは、寄付者に独自ポイント(楽天ポイントなど)を付与する仲介サイトの利用を全面的に禁止した。
「生ぬるい」の一言に尽きる
また、26年3月の地方税法改正で、29年度末までに段階的に総経費を4割以下に抑える目標を明示。同時に、定率だった住民税控除に「193万円」を上限とする定額制(対象は年収1億円以上の高所得者)を初めて導入した。
そして、5月には、仲介サイト事業者に対し、手数料の引き下げを要請したのである。
こうしてみると、総務省は、「資産性返礼品の禁止」→「3割ルール」→「5割ルール」→「隠れ経費の算入」→「ポイント禁止」→「経費4割化」と、適宜、対策を打ってきたようにみえる。
だが、実態は、泥縄式の付け焼き刃的な対応に終始するものでしかなかった。このため、自治体や仲介サイト業者に抜け穴を突かれてはあわてて規制をかけるといういたちごっこを繰り返すことになった。総務省の一連の対策を一言でいえば、「生ぬるい」に尽きる。
ふるさと納税の導入時点で「官製ネット通販」に大化けするとは想像すらしておらず、当初の制度設計が甘かったうえ、あまたの弊害が指摘されるようになった後も小出しの対症療法しか講じず、問題の核心にメスを入れようとしなかったため、事態を深刻化・複雑化させてしまった感は否めない。
見え隠れする菅義偉・元首相の影
総務省の対策が後手後手に回った背景には、菅義偉・元首相の影が見え隠れしたと言われる。総務相時代の肝いり政策としてスタート、安倍晋三政権下で内閣人事局を統括する官房長官を長く務めたこともあって、総務官僚が菅氏の意に反するような対策を積極的に唱えることを憚ったとも伝えられる。いわゆる忖度である。


