暗闇を見たから見えた将来の目標

アンコールになってから、ボーカル野田洋次郎の呼び込みに応じてステージへ上がった山口さんは、VXDシステムを搭載したドラムを用いて演奏を披露。ステージ上のメンバーからも集まったファンからも「サトシ!」「おかえり!」の声が鳴り止まなかった。山口さんはそのときのことを思い返して、噛み締めるようにこう語る。

「RADWIMPSは僕の人生史上、最愛にして最強、そして最高のロックバンドです。僕もまた、僕なりの表現を探求し続けていきたい。お互いの歩む路が、ときに交わることだってあるかもしれない。ともにすばらしい光景を見れたらいいなと思いながら、僕も挑戦を重ねていきたい」

山口さんの現在の日々は多忙だ。棚田での農作業は、季節ごとにやることが山積している。アイスクリーム事業(無印良品などスーパーへの卸事業や自社EC販売)は新宿で店舗が稼働中。民泊事業も始めることとなり、開業準備に余念がない。研究のほうは大学院に在籍中で、ジストニアの実態を明かすべく邁進中である。

はたしてどこへ向かって歩いているのか。ご本人に問えば、こんな言葉が返ってきた。

「いろんなことをしているように見えますが、自分としては『自分と仲間が生きやすい世界を共につくる』という点ですべての活動が貫かれていると思っています。いま具体的に目指している方向性を言葉にするなら、音楽家がより純粋に音楽を楽しみ続けられる社会をつくることとなります。そのために研究やVXDの開発もある。そう、いつか『音楽家のためのクリニック』もつくっていきたい。そのためには日々、勉強と行動あるのみです」

経営する民泊に掲げられていたボード。山口さんの言葉を葉山でとれた草花が飾る
撮影=高須力
開業準備中という民泊に掲げられていたボード。詩人の友人からプレゼントされたという文章を、葉山の草花が飾る。
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