幸せかどうかは他人が決めるものではない

山口さんは、棚田で米をつくりアイスにしていく活動を、農業と音楽を掛け合わせて「農楽(のうがく)」と呼ぶことにした。ポジティブな考えは共感を呼び、周囲の理解と顧客獲得につながっていった。

食べてくれた人から「おいしい」と言ってもらえればうれしい。そんなシンプルな活動を重ねるうち、どん底を経験した山口さんの心身は緩やかに回復していった。

「幸せというのは自分の心が決めるもの、という当たり前のことに、ずいぶん遠回りしながら気づきました。これからも、いまここにある幸せを忘れないように生きていきたい」

そうふりかえる山口さんだが、心の奥底には消えないものが残っていた。音楽、そして愛するバンドへの思いだ。心身が癒えていくにつれて、再びの挑戦への意欲がじわじわと湧き上がってくるのを、本人ははっきりと自覚していたのだった。

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