3年後、密かに交わされた2人の握手
「きざな言い方かもしれませんけど、ああいう役割も含めてきっちりとこなしていくのがフロントの仕事だと思うんです。実際、そういう場面はいっぱいありましたから」
騒動から3年後の2007年。あるパーティーの席上で、瀬戸山と古田は顔を合わせた。居合わせた星野仙一に促されて握手を交わし、形の上での“和解”はそこで成立した。だが二人の間に会話はなく、古田はすぐにその場を立ち去ったという。人の心に刻まれた「憎き者」の印象は、年月を経てなお、容易に薄れることはない。
プロ野球は今、かつての危機をまるで感じさせないほどの盛り上がりを見せている。昨季の年間入場者数は2700万人を突破し、史上最多を記録した。今日の活況を生む契機となったのは、まぎれもなくあの球界再編騒動だ。特定の人気球団の放映権に依存していた体質から脱却し、外部からのビジネス人材の登用や地域密着型のマーケティングなど、各球団が自らの力で収益を生み出す経営方針へと大きく転換。以来20余年にわたり、地道な経営努力が積み重ねられてきた。
今となっては当たり前のように広がる、連日満員のスタジアムの光景。その熱狂の陰には、非難の的となることを引き受け、嫌われ役をまっとうした一人の実務家がいた。
※肩書は当時。
※参考文献『2004年のプロ野球 球界再編20年目の真実』山室寛之著、『勝者も敗者もなく 2004年 日本プロ野球選手会の103日』日本プロ野球選手会著



