衝撃の診断名

大学3年生のとき、安藤さんはテレビ番組で「ADHD」のことを知る。

「ADHD」とは「注意欠如・多動症」とも言われ、「不注意」「多動性」「衝動性」の3つの特性を主な特徴とする、生まれつきの脳機能の発達による障害(神経発達症)だ。

子どもの頃から、「集中力の持続が難しい」「じっとしていられない」「思いついた行動をすぐにしてしまう」といった傾向がみられ、大人になっても続くことがあり、日常生活や仕事で困りごとを抱えるケースが多い。

番組を見ながら安藤さんは、「あれ? これって自分じゃん」と思うと同時に、「でも、ここまで自分はひどくないしな……」と否定する自分もいた。そしてあまり確信が持てないまま、心療内科の門を叩く。

発達検査の結果は、「ADHD」ではなかった。

「結果的に、『注意力や集中力は人並みにあるのではないか』って言われました。ただ、IQ検査で分かったのですが、僕は『知覚推理』の指標が80くらいで、一番高い『言語理解』と『知覚推理』の指標に10くらいの開きがあったんです。医師からは、『広汎性発達障害(自閉スペクトラム症・ASD)です。今までの苦労した経験は、『境界知能』であることと、指標の開きから来ているのではないでしょうか』という説明を受けました」

IQ検査(知能検査)は、単純な知能の測定だけでなく、認知機能のバランスや個人の特性を理解するために用いられるケースもある。

一般的に、発達検査で使われるIQ検査は、ウェクスラー式知能検査が主流だ。対象年齢別に行われ、「言語理解」「知覚推理」「ワーキングメモリー」「処理速度」の4つの指標について数値化される。その4項目間の数値の差が大きいと、本人は「能力はあるのにできない」「理解はできるのに作業が追いつかない」といった混乱や生きづらさを感じやすくなると言われている。

安藤さんは、精神安定剤や抗不安薬を処方してもらうため、通院を始めた。

スーパーのアルバイトの時のように、焼肉屋のアルバイトもいづらくなって“ブッチ”した安藤さんは、卒業できる単位を取るだけのために大学に通った。

彼はなぜ、”半引きこもり”のようになってしまったのか。そして彼は、その生活から抜け出せたのだろうか――。

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