幸せな老後を送る人にはどんな共通点があるのか。精神科医の和田秀樹さんは「60代になっても東大卒を自慢したり、昔の華やかな暮らしの基準でえり好みしたりする人は、人生の幅が狭まり老後が貧しくなる。三高や世間体といった古い価値観を手放した人だけが、これからの人生を本当に楽しめる」という――。(第3回)

※本稿は、和田秀樹『60歳からの人間関係整理術』(河出新書)の一部を再編集したものです。

ロードトリップを楽しむ楽しいシニアカップルのショット
写真=iStock.com/gradyreese
※写真はイメージです

60歳からは「三高」が意味を持たない理由

かつて、女性が結婚相手の男性に求める条件として「三高」という言葉がありました。バブル期によく使われたもので、高学歴、高収入、高身長を指します。なんとなく、男性としてはそのような人がモテるのではないかといまだに思っている人もいるかもしれませんが、この年齢になるとその価値観はほとんど意味を持たなくなります。

高齢になれば背が高ければ恰好いいというわけでもなくなりますし、そもそもルックス自体の重要性が下がってきます。皆、それほど高収入でもなくなってきます。学歴は一生残るものですが、60代になってまで東大卒を自慢している人がいたら、モテるどころか「何を言っているんだ、この人は」と冷たい目で見られるだけでしょう。

年をとってモテる人は面白い人、話題が豊富な人、優しくて面倒見のいい人、あるいは一緒にいて安心できる、信頼できる人です。それらは、過去の社会的地位や肩書きとは、ほとんど関係がありません。

繰り返しますが、これからの人生は、過去とは切り離された新しい価値観によって生きる時間なのです。

過去ではなく「これから」を考える

60歳を過ぎると、どうしても話題は過去のことになりがちです。仕事でどんな地位にいたか、どれだけ忙しかったか、どんな苦労をしてきたかを自慢する人もいます。けれども、これからの人生を豊かにするのは、過去の実績ではなく、これから何をしたいかという視点です。

過去の人間関係をすべて否定する必要はありませんが、そこに縛られる必要もありません。役目を終えた関係は手放して、これからの自分に合う環境を選び直した方がいいのです。

人は何歳からでも、未来を考えて生き直すことができるのです。そんな未来志向のマインドを持つことで、人生は驚くほど軽やかになります。

未来への視線を持つための手段のひとつとして、バケットリストを作ってみることをおすすめします。バケットリストとは、生きているうちにやりたいことを書き出したリストのことです。残りの人生が見通せるようになった今だからこそ、自分は何がしたかったのか、そして今、これから何をしたいのかを考えて、書き出してみるといいのではないでしょうか。

たとえば、日本の全都道府県に行ってみるとか、料理ができるようになるとか、残りの人生を一緒に過ごすパートナーを見つけたいとか、今の年齢なりの実現可能な夢や目的があるはずです。やりたいこと、できることをやり残さないようにしようと思うと、自然と前向きになります。