20年前のテーマは「人生を加速させる方法」だった

実際、このプロローグを書いている今も、僕は柔術の練習を休んでいる。靱帯断裂の手術を受け、全治3カ月と言われた。体はまだ戻っていないし、この先、柔術をどこまで続けるかも分からない。

でも、それでいいと思っている。最初から完成形を決めて始めたわけではない。これは、僕にとって実験だからだ。

初めての著書『レバレッジ・リーディング』を書いたのは、2006年だった。

あれから20年が経った。

最近、「あの本で人生が変わりました」と声をかけてもらうことが増えた。学生時代や社会人になったばかりの頃に「レバレッジシリーズ」を読み、今は30代、40代になった経営者、会社員、医師、専門職の人たちだ。

本を書いてきて、これほど嬉しいことはない。

でも同時に、ふと思う。

あの頃、人生の前半を走り始めた同年代の読者たちは、今まさに僕と同じ問いの前に立ち始めているのではないか。

もちろん、あの本を読んでいてもいなくても関係はないのかもしれない。人生の前半を走ってきた人なら、誰もがいつかこの問いの前に立つからだ。

あの頃のテーマは、「どうすればもっと速く成長できるか」だった。

どう学び、どう時間を使い、どう成果を出し、どう人生を加速させるか。

でも今のテーマは、少し違う。

これからどこへ向かうのか。何を手放すのか。何を次の力に変えるのか。限りある時間を、どう使うのか。

人生をアップデートし続ける

20年前、僕は人生の前半を加速させる本を書いた。

本田直之『セカンドハーフ戦略 人生後半戦、何を捨て、何を始めるか』(KADOKAWA)

今度は、人生の後半をアップデートする本を書きたい。

後半戦は、何かを足すことより、まず何かを外すことから始まるのかもしれない。過去の勝ちパターンを疑い、新しい戦い方を試す。うまくいかなければ、また組み替える。

これは、僕ひとりの話ではない。同じ時代を走ってきた人たちが、今、それぞれの形で人生の後半戦の入口に立っているはずだからだ。

この本では、その後半戦を、六つの角度から組み直していく。戦い方、感情、身体、始め方、時間と場所の配置、人とのつながり。順番に一つずつ、自分を実験台にして試した記録だ。最初から六つの地図があったわけではない。やってみて、つながって、あとから六つになった。

だからこの本で書きたいのは、人生を完成させる方法ではない。アップデートし続ける方法だ。

人生は壮大な実験なのだから。

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