※本稿は、安斎勇樹『静かな時間の使い方 自分の解像度を上げる「独りの思索」の全技法』(朝日新聞出版)の一部を再編集したものです。
定期的に「自己紹介」をアップデートする
職場に新しい人が入ってきたとき、異動して新しい部署の人に挨拶するとき、社外の交流会や懇親会、子どもの保護者会や地域の集まり……。そんなとき、「自己紹介をお願いします」と言われたら、あなたはどんなことを話すでしょうか?
多くの人は、この「自己紹介」という儀式が苦手だと思います。かくいう私もそうです。
なるべく短い時間で、会社名や部署名、担当している業務、名刺に書かれている肩書きなど、最低限の情報でやりすごす。少し長めに話さないといけない場面であれば、前職の勤務先や職種、大学で専攻していた分野といった経歴をプラスして話す人もいるでしょう。
いずれにしても、「所属」と「役割」など、履歴書に書かれているスペックを開示して終えるのがふつうです。
しかしここで提案したいのは、自分の「自己紹介」の内容について、真剣に考えてみるという習慣です。実際にリフレクション(内省)が上手な人は、「自分についてなんて説明するとしっくりくるか」を定期的に見つめ直し、アップデートしています。
もちろん、これは自己紹介の気まずい儀式を克服しましょうという話ではありません。
たとえばですが、あなたがかつて卒業した母校の「特別授業」にゲストで呼ばれたとして、30分くらいかけて生徒に「自分は何者か」について話すとしたら、何を伝えるか? を考えるようなイメージです。
「いまの自分はどんな人間なのか?」
なぜ、自己紹介についてリフレクションする必要があるのでしょうか?
リフレクションの習慣を続けていると、だんだん他人ではなく、自分自身に目が向くようになっていきます。できごとそのものではなく、自分にとっての意味づけを問い直す。誰かの言動ではなく、自分のモヤモヤを掘り下げてみる。
他者の評価ではなく、自分の中に生まれた小さな学びに注目する。ソーシャルノイズの言いなりになるのではなく、自分の興味の飽きに敏感になる。
こうした静かな時間を積み重ねていくと、まわりからどう見られているかが気にならなくなってきます。自分はどんなことに関心があって、どんな価値観を持った人間なのかに関心が向いて、自分の解像度が上がってくるのです。

