半年に一度「アイデンティティ」を微調整
そして40代に入り、また自己紹介が変わってきました。いまの私にとって、「研究者です」「経営者です」という自己紹介は、自分のすべてではないという感覚が強くなってきました。
それよりも、「こういう本を書いてきた作家です」と、作品ベースの自己紹介をすることが増えています。
時間が許す場面では、作品の背景にある価値観――何にこだわっているのか、何はやりたくないのかといったポリシーも、セットで説明するようにしています。
こうして振り返ると、私の自己紹介は、何度もアップデートされてきました。半年に一度は微調整をしていて、これも立派なリフレクションの一部だと思っています。
自己紹介には「4つのレイヤー」がある
どのように「自己紹介」をアップデートすればよいか、もう少し構造的に整理してみましょう。自己紹介には、大きく分けて①経歴、②強み、③興味、④価値観の4つのレイヤー(層)があります。①は表層的な情報で、④に向けて深層に進んでいきます。
① 経歴
所属(会社名・部署名)、役割、肩書き、職歴や学歴などのスペックのことです。履歴書や名刺に載っている情報がここにあたります。多くの人が、自己紹介をしてください、と言われたときにまず語るのは、このレイヤーです。
② 強み
もうひとつ深いレイヤーに行くと、そうした役割を支えている能力、スキル、得意分野、専門性があります。「マーケティングが得意です」「ずっと人事をやってきました」など、経歴とともに語られがちなレイヤーです。ここまで含めて自己紹介している人も、一定数いると思います。
あなたの「譲れないポリシー」は何か
③ 興味
さらにその下には、興味のレイヤーがあります。何に関心があるのか、何が好きなのか、何を面白いと思っているのか、というレイヤーです。その人の人となりが、よく表れる部分です。
それが得意かどうかは別として、「最近、生成AIに興味があります」「この本がすごく面白くて、深掘りしています」など、いま自分がどんなテーマを追いかけているのか。私はこれを「探究テーマ」と呼んでいます。
④ 価値観
そして、いちばん根っこにあるのが、人生の中で形成されてきた価値観や信念です。親からの影響、育ってきた環境、経験を通して形づくられた信念、譲れないポリシーといったものです。ここまで自己紹介に含める人は、おそらく多くないでしょう。
こう見てみると、自己紹介が経歴、せいぜい強みぐらいにとどまっているのは、ある意味では当たり前のように思えます。ただ、それだけだともったいないな、と私は考えています。

