苦手なことで逆転することは難しい

それを早く、自分で見つけるのが一番ですが、ニトリでは「配転教育」をすることで社員の長所発見の可能性を上げています。1つでも長所が見つかれば、その他の短所は隠れちゃいますから。

私なんか、まさにそうです。100あるうち、長所は1つしかない。勉強は苦手だし、整理整頓もできないし、物事が終わるとそれを覚えていることもできない。本当に短所だらけです。

ただその分、失敗しても悩み続けたりはしませんし、たまたま商品の仕入れや開発に興味を持てたことがよかったなあと思います。好きなことには集中できますから。

他に向いていることがあるかもしれないのに、とにかく短所を改善しようとして、それをどうにかやれるレベルにできたとしても、長所と言えるまで高めることはまずできません。

自分が苦手なことを得意とする人は必ず世の中にいて、そう簡単に逆転できるものではないのです。それよりも、長所を見つけて、それを生かせる仕事を与える。そして長所をさらに伸ばしていく。

こうしたほうが、部下としても自分の成長を実感できるものですし、その成長は会社の成長にも繫がっていきます。

かつての自分が重なる子どもたちと学ぶ

この配転教育に近い考え方の取り組みを、2021年から東京大学先端科学技術研究センターの中邑賢龍なかむらけんりゅう先生の研究室と一緒に行なっています。「LEARN with NITORI」というプロジェクトです。

じっと席に座っていられない、落ち着きがない、忘れ物が多い、勉強が嫌い、友だちと話が合わない、空気が読めない、こだわりが強い……など、まるで私の子どもの頃と同じような特徴を持った小中高生たちに参加してもらって、自分らしく、自由に楽しく学ぶプログラムです。

ぶどう狩りを楽しむ女の子
写真=iStock.com/hanapon1002
※写真はイメージです

東大で行なわれたオープニングイベントでは子どもたちと直接話をしたり、小樽おたるの似鳥美術館を会場にしたイベントを開催したりしました。山口県で行なった「初めてのアルバイト体験&保護者向け子育て相談会」では保護者の方々とも交流。子どもたちにはニトリの店舗でアルバイトしてもらいました。

プログラムに参加した子からは、「学校がつまらなかった。苦手なことを普通にさせようとするところだから」といった声が聞かれました。学校に馴染めない悩み、そんな自分を否定してしまって、自信をなくしている様子が伝わってきます。