※本稿は、似鳥昭雄『発達障害の私だからこそ、成功できた』(祥伝社)の一部を再編集したものです。
最低11店舗なければチェーンストアじゃない
ロマンに向かって粘り強く、こだわりを持って事業を広げていた当時、札幌市内にあった3つの店はそれなりに軌道に乗りつつありました。とはいえ、経営は相変わらず、まったくの自己流です。
店数を増やすといっても具体的な戦略があったわけではなく、成功している企業を分析するようなこともせず、ヒト、モノ、カネのすべてにおいて場当たり的な判断の連続でした。
そんなある日、旭川のメーカーへ仕入れ交渉に出かけた私は、応接室でたまたま手に取った1冊の本に釘付けになります。流し読みのつもりが、すっかり目が離せなくなりました。そこには、私が日頃から悩んでいた経営の難題をどう乗り越えるか、科学的かつ論理的に解き明かす内容が書かれていました。
特に衝撃を受けたのは、チェーンストアの店舗数についての考え方です。当時北海道の小売業界では、「店数が5店舗以上になると、社長の目が届かなくなって倒産する」と語られていました。
そういうものかと思いつつも私は、アメリカ視察で見た100店舗以上ある大規模チェーンの存在が心に引っかかっていたのです。
その本には、こう書かれていました。
「最低11店舗なければチェーンストアじゃない」
「100、200、1000店という数を建てなければ、お客様が本当に求めている品質や機能、ましてや安さは実現できない」
「アメリカの豊かな暮らしの鍵はチェーンストアにある。チェーンストアこそ国民の生活を守る基幹産業である」
私は思わず心の中で叫びました。「やっぱりそうだったんだ!」。まるで、自分に強力な応援団が現れたような気持ちになりました。
本の著者は渥美俊一先生です。東京大学法学部を卒業した後、読売新聞記者を経て経営コンサルタントとなり、チェーンストア研究団体の「ペガサスクラブ」を設立。ダイエーやイトーヨーカ堂、イオンなど多くの創業者に大きな影響を与えた人物です。
「流通革命を起こし、日本に経済民主主義を植え付ける」、それが渥美先生の夢だと書いてありました。私は心打たれました。

