思いばかりが空回り、やっと掲げた30年計画
ロマンに対する熱い思いは膨れ上がる一方、それを達成するためのやり方がわからず、うまくいかないもどかしさを抱えていた頃のことです。転機になったのは、渥美先生の「長期計画セミナー」でした。
出店計画や資金繰り、仕入れの方法などを学んだ後に先生から出された課題が、「長期計画のビジョンを出しなさい」でした。
私は自分の頭の中にあったプランを書き出し、そのまま提出。現状7店舗で売上が15億円、これを30年後には4倍の店舗数、7倍の売上にするというものです。
これで十分だろうと思っていました。ところが、先生の反応は「目標が低すぎる」。目標の店舗数を50にして再提出しても、「もっと大きな計画にしろ」と突き返されたのです。
あ然としていた私に、先生は「ペガサスクラブは、基本100倍発想だ」と教えてくれました。現状の2、3倍のレベルなら、それまでのやり方の継続で目標を達成できる。しかし100倍となると、過去と同じことをしていては決して達成できない。
それまで足で歩いていた人が走り出し、自転車に乗り換え、自動車、飛行機、ロケットと移動手段を変えていくような発想の転換が必要になる。自動車に乗ろうと思ったら免許を取らなくてはならないように、経営者自身の成長も求められる。
同じことをやっていたら先行者には勝てない。高い目標を掲げて、ロマンの実現に向かって突き進んでいく。それがビジョンというものだ、と。
毎日のように目標を話すと「本気」になる
焦る私の周りで、同じセミナーに出ていたメンバーは壮大な計画を提出し、1人また1人と帰っていきます。だったら……と苦しまぎれに提出したのは、「100店舗、1000億円。これを、2002年に実現する」。
正直なところ、半信半疑でした。それでも先生からはOKが出て、「目標は額に入れて、社内の誰もが見られる場所に掲げておけ」と教えてくれたのでした。
その後、私たちニトリは30年計画から1年遅れて2003年に「100店舗、1000億円」を達成します。そして、そこで満足することなく、私は次の30年に向けた第2期の長期計画を掲げました。
自分でも不思議なものですが、毎日のように「目指すは100店舗、1000億円だ」と話していたら、その目標を本気で信じるようになっていました。
やがて社員にも「本気」が伝わっていったように思います。多くの社員が「意欲、執念、好奇心」を大事にして仕事に臨む、ニトリらしさが育ち始めたのを感じました。


