ひとり身の高齢者は人付き合いで何を心がけるべきか。精神科医の保坂隆さんは「60歳をすぎたら、親戚付き合いや冠婚葬祭など無理して行く必要はない分、本当に大切な人とのお付き合いを深めて行くことだ。ひとり老後の高齢者の人付き合いにふさわしい夏目漱石の名言がある」という――。
※本稿は、保坂隆『ムリなく気楽にちょうどよく 「ひとり老後」の人づきあいの知恵袋』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。
ひとり老後の高齢者に効く夏目漱石の名言
夏目漱石は『吾輩は猫である』のなかで、人づきあいについて「義理をかく、人情をかく、恥をかくの『三欠く』を実行すべし」と書いていますが、この言葉はひとり老後を送る高齢の人にこそふさわしい名言なのではないでしょうか。
本来はお金をつくる方法についての言葉ですが、むしろ老後の人間関係に当てはめるほうがぴったりきます。やっと社会的な制約から離れてすごせるようになったのですから、無理をしてまで人づきあいをする必要はないと思うのです。
もちろん、法事やお葬式のようになかなか避けて通れない場もありますが、60歳を過ぎた頃からは100パーセントおつきあいをしなくてもいいのではないでしょうか。
当主として家を継いだ場合などを除けば、親戚づきあいや冠婚葬祭も都合によってパスするケースも出てくるでしょう。
ある程度の年齢になると、友人や親戚を見送る機会も増えますが、葬儀のすべてに参列してお香典を包んでいたのでは、経済的負担も大きくなってしまいます。やはり、どこかで境界線を引いて、参加・不参加を決めなければなりません。
その基準はあくまでも自分の気持ちですから、どうしてもお見送りがしたいと思ったら、どんなに遠方でも出向くのが自然です。
しかし、よほど縁の深い人の場合を除いては、弔電やお便りでお悔やみを申し上げるだけでも失礼には当たらないでしょう。

