“いい仕事”を辞めるキャリア官僚たち

「“いい学校”に入らなければならない」と親や教師が教え込む際、その理由の一つとして挙げるのが、“いい仕事”に就けることである。一昔前まで、“いい仕事”の代表といえば中央省庁のキャリア官僚だった。東大を出てキャリア官僚になることは、典型的なエリートコースとみなされていたのだ。

片田珠美『生きづらさの正体』(宝島社新書)
片田珠美『生きづらさの正体』(宝島社新書)

ところが、最近若手キャリア官僚の離職数が増え続けており、採用10年未満の退職者数は過去最多を記録したと報じられている。その原因として、給与水準や長時間労働への不満があるらしい。そのうえ、政治主導が強まった影響で「自分たちが国を動かしている」という誇りも高揚感も感じられず、やりがいが減ってきているという事情もあるようだ。

未来のために現在を犠牲にして頑張った人ほど、自分は多くのものを犠牲にしてきたのに、その割には見返りが少ないと思うものだ。だから、高学歴エリートの典型ともいえるキャリア官僚が「頑張ったのに報われない」と感じ、若くして退職するのは当然かもしれない。

キャリア官僚という一昔前であれば典型的な“いい仕事”に就くことができても、若くして辞める人が増えているという実情を目の当たりにすると、“いい学校”を出て“いい仕事”に就けば幸せになれるのかという疑問を抱かずにはいられない。

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