一言挨拶しただけで向上する「感情」

学校教育でも、部活動でも、社会人になっても、「挨拶は重要だ」とよく言われますが、それは相手のポジティブ・フェイスを満たすことで相手に近づき、人間関係をより円滑にしようという思惑があるからなのです。芸能人などが、撮影前にお互いの楽屋へ出向いて挨拶するのも、そのためです。

笑顔で上司と話す若いビジネスウーマン
写真=iStock.com/maroke
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挨拶の効果は、心理学的にも多方面から研究されています。最近の研究でも、それほど親しくない人、もしくは知らない人と「挨拶をする」「感謝を述べる」「短い会話をする」といった最小限の社会的相互行為(minimal social interactions)を行う効果について大規模データに基づいた調査を行ったところ、「挨拶」や「感謝」といったほんの一言の発話であっても、会話ほど負担が大きくないにもかかわらず、主観的幸福感の向上に寄与することが示されています(Ascigil, Günaydin, Selcuk, Sandstrom & Aydin 2023)。

さて、話を戻しましょう。ここでAさんが「田中さん」と名前で呼んでいるのもPPS-1になります。「あなたが田中という名の人物であることを知っている(気づいている)」ということをただ言語化しているわけですが、名前を呼ぶという言語行動は、それ以外にも大切な思惑を伝えます。