家計簿は「反省」ではなく「生活の設計図」
支出を記録して反省するのではなく、上限を決めてから使い道を考える。この順番の違いが、長期的な生活の安定を生む。物価高の局面でも発想は変わらない。
「お米が高くなったから、前は朝昼晩お米でもよかったんだけど、今は5キロを1回しか買わないようにしている。足りなくなりそうだったらパンとかうどんにするの。お米は好きなんだけどね」
嘆くより先に代替案を探す。その柔軟さが、9年間の年金生活を支えている。
「貯金を切り崩す前提でいるから不安になる。貯金はあくまでも万が一のためとして、あるものでやり繰りすれば、そこまで不安になる必要はないんです」
現役世代が老後設計で見落としがちなのが、「何を削らないか」を先に決めることだ。カルメンさんの家計には、削らないと決めている支出がある。
削る支出と、削らない支出を明確に決める
ひとつは健康に関する出費だ。4月のサプリメント代は3292円。治療費は890円。年に1度の健康診断に加え、骨粗しょう症の経過観察のため整形外科にも通っている。
「本当はね、料理を作るのが面倒で、朝は食パンとコーヒーだけのことが多い。でも、それじゃ栄養にならないでしょう。だからサプリは結構飲んでいるんです。健康診断にもちゃんと行くし、骨密度が低いので骨粗しょう症の薬ももらっています。転んで骨折でもしたら大変だから」
また、レクリエーション費も削らない。節約本なら真っ先に削られそうな項目だが、カルメンさんは違う。脳と身体の健康のための出費として確保している。4月の娯楽費は6010円。現在は地域の体操教室に加え、シャンソン教室とヤマハ音楽教室の「青春ポップス」に通っている。
「ヤマハの『青春ポップス』は今年から。前からシャンソンもやっていたんだけど、そっちは月2回を1回に減らしたの。ヤマハは友達ができてね。終わったあと一緒に卓球にも行くんです。本当は家にいるのが好きなんですよ。一人でいるのも平気。でも75歳を過ぎて家にばかりいたら色々と衰えてしまう。楽しくてしょうがないというより、頭と身体の健康のために行っている感じかな」
健康、人付き合い、そして少しの貯金。年金生活9年目の今、年金から捻出した貯蓄は約400万円に達した。大切なのは年金収入のなかでやり繰りすること。貯金は増やしこそすれ、切り崩すことはしない。


