貯金を切り崩さない理由
「ホームヘルパーの時給が良かったんですよ。介護の仕事は好きで選んだわけじゃないんです。でも私にはそれしかできないと思ったから」
好きではないと言い切りながら、介護福祉士、ケアマネージャーの資格を次々に取得し、収入を段階的に上げた。
「給料が増えても生活水準は上げない。その日暮らしみたいなことは、嫌なんです。例えば15万手取りがあるんだったら、12、3万で暮らして、毎月2万ぐらい貯金していくとか、収入規模によってできることはある。
仕事を始めたのは遅かったけれど、頑張ってキャリアアップしてきました。自分なりに貯金もしています。生活費は年金で賄うのが基本で、貯金は切り崩さない。病気とか介護施設に入るとか、いざというときに家族に面倒をかけないためにね。子どもが結婚するときや家を建てるときは多少援助もしました。それは母親としての責任。だから今も年金から、貯金しているんです」
とはいえカルメンさんの現役時代は、貯金だけに全てを捧げていたわけではない。50代で介護現場での不便を解消するために発明品を考案。雑誌やラジオに取り上げられたり、シニアアクターとしてドラマに出演したりもしていた。
50代で身につけた一生モノのやり繰り
「自分が憧れていた活動もやってみたくてね。結局、それで食べていくことはできなかったです。発明品も頑張って売り切ったのに、制作費とトントン。俳優として再現ドラマに出ても、全然お金にならなくてね。
でも、やりたいことをやってみたんだという納得感はあります。私は50代の頃が、一番精力的に動けたし、輝いていた時代だったと思います。その時代に年金を積んで、収入のなかでやり繰りする術も身に付きました」
67歳まで年金を繰り下げたカルメンさんの受給額は、現在月11万円ほど。専業主婦期間が長かった女性としては、高い水準だ。彼女の50代からの奮闘が実を結んで、今の穏やかな生活がある。
一方でカルメンさん自身も認めている。母子手当、都営住宅、介護職の高い時給。今の自分があるのは、当時の制度と時代があってこそだ、と。

