「忘れそう」「忘れた後」に覚え直すのが効果的
だから、「えっと、なんだっけ」と脳に汗をかいて、思い出そうともがく。こうした「負荷」のかかったときにこそ、記憶が強化されるのです。
また、ワシントン大学のヘンリー・ローディガー博士らの研究(2006年)によると、テキストを何度も読み直す再読よりも、何も見ずに思い出す努力をしたほうが、1週間後のテストの成績が約50%も高かったことが示されています。
だから、記憶が鮮明なうちに何度も復習するのは、単なる「現状維持の確認作業」で満足度は増えても、効率的ではないのです。
言い換えれば、「うん、知っている、覚えてる」と確認して満足しているだけです。涼しい顔をして筋トレをするようなものです。もちろん、それで筋肉が増強できれば問題ありませんが、そうではないですよね。
記憶の筋トレも同じです。もちろん時間が多くあれば、「忘れる前に復習」でいいと思います。でも、忘れる前に復習をしていたら、いつまで経っても日々の勉強が復習で終わり、前に進めることができないかもしれません。だから、忘れかけそうなタイミングや忘れた後で復習すればいいのです。自然と負荷がかかり、効果が高まります。
「関連付け」「紐づけ」で記憶の定着率↑
しかし、それでも忘れてしまうこともあるでしょう。そのときに「あぁ、また忘れた……」なんて自己嫌悪に陥るのはもったいないです。
忘れることは、効率的に記憶するための兆しでもあるからです。だから、忘れることを恐れないでください。むしろ、忘れてから修正する過程が勝負です。訓練時は「望ましい困難」を受け入れて泣こうじゃありませんか。
ただ「望ましい困難」が効果的と言っても、困難ばかりでは心が折れます。望ましい困難以外に効果的な記憶方法はないのでしょうか?
そんなことはありません、それは、「あれ何だったっけ?」と「正解(知識)」を結ぶ「手がかり」を作る方法で、その手がかりとして「関連付け」や「紐づけ」があります(カリフォルニア大学デービス校の研究など)。
関連付けとは、新しい情報を、すでに知っている情報と結びつけることで、記憶の定着率が上がります(これを「精緻化効果」と言います。なお、意味のないものに無理やり意味付ける方法のひとつとして語呂合わせがありますが、これも精緻化のひとつで、科学的にも示されています)。
例えば「predict(予測する)」という英単語を覚えるときを想定してみましょう。ここではpredictを丸暗記するのではなく、パーツに分解することで「紐づけ」ができます。

