“怪情報”が示す日本の軍事リテラシー欠如

いくつか事例を取り上げてみよう。まず、3月の日米首脳会談時に月刊誌『選択』(4月号)で流布された「ホルムズ海峡への艦船派遣をめぐって、今井参与が高市首相に怒鳴った」という噂を取り上げたい。このニュースは日米関係、日中関係、日本中東関係を揺るがすデマであった。当事者本人たちのコメントや産経新聞の後追い報道によって全否定されたが、この種の話によって、日米関係が悪化した場合、中東情勢に関する以上の問題が生じる可能性すらある。

このような荒唐無稽なデマが「もっともらしく」聞こえてしまう背景には、軍事的事実への理解不足がある。軍事の常識から言えば、ホルムズ海峡は米軍が圧倒的な戦力を展開している海域であり、日本の護衛艦が単独で作戦に影響を与えられる余地は極めて限られている。むしろ、戦力差の大きさから、現場の作戦運用において負担を増やす可能性すら指摘されてきた。つまり、軍事的リアリティを理解していれば、「日本が軽々しく派遣を決断する」「その是非をめぐって官邸内部で怒鳴り合いが起きる」といった構図そのものが不自然だとわかる。

「ナフサ不足」煽りに踊らされてはいけない

また、4~5月にかけてはナフサ不足で、「日本が6月に詰む」という専門家の主張が報じられたこともある。社会不安が生じている状況では、このような“終末論”が目を引くのも無理はない。