「誰も断らない」医師は、迷い続ける覚悟を決めた医師だった
現代の医療にはさまざまな選択肢がある。ただ、「医療をどこまで介入させるか」という問いに、明確な答えはない。
いまだに「高い医療費を投じて高齢者を生かす意味があるのか」という声は定期的に浮上するが、生死の問題をコストと結びつけて議論すること自体、そもそも危うい。
水野さんは、これについてどう考えているのだろう。
「どこから意味がないことなのかっていう線引きを医者がしてしまうのは、医者のおごりやと思う。『そんなことしても意味ない』って言い出したら、タバコ吸うのも意味ないし、酒飲むのも意味ないし、みんな意味ないことになってしまうやろ。確かに医者として思うことや考えることはあるし、説明するべきことはするけど、意味があるかないかっていうよりも、その人が何を望んでるかっていうことを優先すべきやと僕は思います」
水野さんは本人や家族の決断を、医療者として支えるだけだ。大切なのは、あくまでも自己決定。「誰も断らない」とは、医療と患者の希望の間で迷い続ける覚悟を決めているということなのかもしれない。だからこそ水野さんは、今日も迷い、葛藤する。


