借金増を厭わない積極財政政策
さらに加えて、夏場の冷房需要の増大に向けて、7月から9月の3カ月間、電気・ガス料金の補助金を再開・拡充する方向が固まった。標準世帯で3カ月で5000円を超える負担軽減になる見込みだという。もちろん、これも財源は政府予算から出されるわけで、当面、5000億円規模の予備費を当てる。こうした大盤振る舞いも最終的には国の借金に積み上がることになる。
こうした国債発行残高の増加を懸念する声がある一方で、自国通貨を発行できる政府はいくら国債を増発して財政赤字を拡大しても、インフレ率が許容範囲内である限り、財政破綻はしないと主張する「MMT(現代貨幣理論)」の信奉者がおり、高市氏の周囲にもこうした理論を主張するブレーンがいると見られている。このため、高市氏の経済政策は国の借金増を厭わない積極財政政策になっているとされる。
確かに、ある程度の借金をしてでも積極的に財政出動することで景気が良くなり経済成長すれば、それによって税収も増え、借金返済の原資が生まれることになる。ただし、将来、リターンが戻ってくるものに投資をすることが前提で、単純に物価上昇を招くような財政支出は問題を引き起こす。
住宅ローンの「悪夢」
国債がデフォルトしなくても、財政悪化によって国債の信用度が落ち、債券価格が下落(金利が上昇)する懸念は十分にある。金利が上昇すれば、借り換え債を発行する際の調達コスト、金利負担が増えることになり、さらに借金が増えるという悪循環に陥りかねない。
実際、ここへきて長期金利が大幅に上昇している。5月18日には長期金利(10年物国債金利)が一時2.8%にまで上昇したが、これは何と1997年以来、29年ぶりの高水準だった。
これによって住宅ローンにも影響が出始めている。新規に固定金利で住宅ローンを組む人の利率が大幅に上昇しているのだ。例えば、「フラット35」の借入期間21年以上35年以下、融資比率9割以下の5月の最低金利は2.710%と前月に比べて0.220%上昇した。
変動金利型の住宅ローンも長年2.5%程度だった金利が3%を超えてきているが、返済額は5年間変わらないことになっており、すぐに生活を圧迫する事態にはならない。今後、さらに金利が上昇すれば、返済額では金利返済すらできず「未払い金利」が発生することになりかねない。返しても返しても借金元本が減らない悪夢が襲ってくる。

