すでに「インフレ税」を払わされている
では、このまま借金が増えた場合、どういう形でツケは回ってくるのか。実は既に国民はツケを払わされ始めている。いわゆる「インフレ税」である。日本円の実質的な価値が下がることで、預貯金の資産が目減りする一方、政府の借金の負担も実質的に軽くなるというわけだ。
物価上昇によって、同じものを買っても支払う消費税は着実に増える。インフレが進めば政府の税収も増え、借金は目減りするから、政府にとっては好都合なのだ。国民も政治家も浪費を続けて財政均衡を考えないならば、インフレで苦しむことになる。矢野次官の寄稿が国民に対する最後通牒だったのかもしれない。
日経平均株価は5月25日、初めて6万5000円台に乗せ、過去最高値を更新した。株高が日本の国力を示しているというよりも、円通貨の劣化が株価や不動産といった資産価格の急上昇をもたらしているように見える。資産を持たず、劣化する円建ての給与、しかも物価上昇には到底追いつかない賃上げしかされない給与に依存する日本の庶民が、金利上昇や円安という形でツケを払わされることになるのだろうか。

