JAが招いた史上最悪の高米価

2024年の夏にスーパーの棚からコメが消えたのは、前年に収穫された23年産米が40万トンほど猛暑などの影響を受けたからである。このため、本来なら10月から翌年9月に消費されるはずの24年産新米から40万トン分を端境期の24年8~9月に先食いしてしまった。24年の10月から25年9月まで供給されるコメがその分少なくなってしまったのだ。

これにより農家がJA農協を通じて販売する24年産米の価格(60キログラム当たり玄米)は、前年の1万5000円から2万5000円に70%程度上昇した。これにつられて消費者がスーパー等で支払うコメの値段も上がった。「コメは不足していない。新米が供給されるとコメの値段は下がる」と言った農林水産省の予測(ウソ)は見事に外れた。

25年産米はさらに上昇して3万6000円となっている。しかし、これは猛暑などの天災による影響ではない。25年産米の生産量は前年産に比べて1割、70万トンも増加している。通常なら生産が増えるなら米価は下がるはずだ。

ところが、前年、他の業者に負けて十分にコメを集荷できなかったと考えたJA農協が、通常の年なら1万2000円である農家への仮渡金(概算金)を3万円~3万3000円まで一気に引き上げたため、JA農協が卸売業者に販売するコメの価格も3万6000円に上昇したのである。

東京都千代田区大手町1丁目のJAビル(写真中央)
東京都千代田区大手町1丁目のJAビル(写真中央)(写真=J o/CC-BY-SA-3.0,2.5,2.0,1.0/Wikimedia Commons

生産が増えても価格が上がるトリック

しかし、生産が増えるなら米価は下がるのに、なぜJA農協は高い価格を卸売業者に要求できるのだろうか。ここにトリックがある。

保存できないので収穫したものをそのまま市場に出荷せざるをえない野菜の場合には、生産が増えると価格は下がる。豊凶によって価格が乱高下するのが野菜の特徴である。ところが、野菜などと違い保存できるコメなどの穀物は在庫として保管することができる。生産が増えても、JA農協が在庫量を増やせば、市場への供給量を抑えられる。

過去にも生産が増えたのに米価が上がるという例はあった。市場占有度が高いJA農協は在庫を調整することで価格を操作できるのだ。今年3月のJA農協を含む民間在庫は277万トンで前年比97万トン増加している。この10年間で最高の水準だ。在庫調整の結果である。