50代は「まだ若いからダメなの」
アヴォは、世界の高齢化が進む時代において、“老いの再解釈”の最前線にあるプロジェクトだ。高齢者を守るべき弱者と捉えるのではなく、「老いにはまだ未発掘の可能性がある」と、正面から肯定しているのだから。
ちなみに……アヴォのスタジオは、おばあちゃんたちは無料で利用できる。ただし、60歳以上に限っての話だ。以前、50歳代が入れてほしいとやってきたことがあったが、丁重にお断りしたという。「ごめんなさい、あなたはまだ若いからダメなの」と。
彼女たちの取り組みで特徴的なことの一つに、その独特のプロモーションがある。インスタグラムのアカウントを見てみれば、おばあちゃんたちが化粧をして、おしゃれに着飾って、嬉々とした表情で街に繰り出す映像や写真などが並ぶ。
ここにも、プロジェクトへの想いが詰まっている。
「私たちは、“加齢はグラスの半分程度のもの(まだまだ十分に残っている)”だということ示したい。もっと楽観的にポジティブになってほしい。そのために、みんなにわざとカラフルに、ポップな装いをしてもらっています。
それは高齢の女性にはとても難しいこと。彼女たちはシワだらけで美しくないと思い込んでいるから。でも、あえてその部分に働きかけたかった。それぞれの年齢にそれぞれの美しさがある。
もちろん、無理に着飾る必要はないけれど、それでも、オシャレをして、家族みんなから褒められたり、写真を撮られたりすると、自然と元気が出たりするもの。あなたは美しい、と20回言われたら、きっと彼女は輝き始めるわ。
そして、最近よくクリエイティブという名前を使った場所やイベントがたくさんあるけど、みんな若い人ばかり。40歳以上の人ってほとんどいない。でも何歳になっても創造的であるべきだし、年齢の高い人たちがクリエイティビティを発揮できる場所をつくっていきたい」
老いとは「再び始まること」
アヴォの重要なキャッチコピーに「Old is the New Young!」というものがある。「老いとは新しい若さ!」。なんとポジティブですてきな言葉なんだろう。
年齢を重ねることは当たり前であり、魅力は年輪のように増し、可能性もまだまだ広がっていくのだと、前向きな気持ちになれる。周囲はもちろん、当事者自身が存在価値を認めるという思考こそが、持続可能な未来をつくっていく社会の礎になることを、改めて教えてくれる。その明るくて力強いメッセージが、ポルトガル社会の温かさと共鳴している。
老いは終わりではない。老いは再び始まること。
そんな可能性を、アヴォのおばあちゃんたちは静かに、しかし確実に示してくれている。


