健康維持に必要な食生活の心構えは何か。精神科医の藤野智哉さんは「努力して正しい食事をすることは、それ自体がストレスとなり、かえって心身を疲弊させてしまうことすらある。食事を気楽に考えて、頑張りを休むことが大切だ」という――。
※本稿は、藤野智哉『「ちゃんとしなきゃ」が止まらないあなたに贈る 頑張れない日の休み方レッスン』(ワニブックス)の一部を再編集したものです。
「無添加」「オーガニック」の功罪
私たちの暮らしの中で、食事は非常に大きな位置を占めています。朝・昼・晩の3食を規則正しくとることは、健康を維持する上での基本とされています。忙しい日に朝食を抜いてしまうと後ろめたいのは、三食をとることが大切だと思っているからでしょう。
確かに、一定のリズムで栄養をとることは、体内のバランスを整え、生活のリズムを安定させるという意味では、非常に有効な習慣です。
ただ、1日3回という回数もそうですが、食事はこうすべきである、という思い込みが私たちを強く支配しているような気がします。
食事は3食きちんととるべきに始まり、栄養バランスに気をつけ、できれば添加物は避ける、なんて考え方が過剰になったとき、私たちの心は負担を感じます。そして、食べること自体がストレスとなり、かえって心身を疲弊させてしまうことすらあるのです。
現代社会においては、「何を食べるか」に対するこだわりが、かつてないほど強まっています。
「無添加」「オーガニック」といった言葉はスーパーマーケットに溢れています。
グルテンフリーもそうですね。それらは健康への意識の高まりと共にビジネスに利用され、市民権を獲得しましたが、「信仰」のレベルで信じている人がいることに驚きます。
「この食品は体に悪い」「この成分は絶対にとってはいけない」といった断定的な情報に翻弄されてしまう。同時に周囲にも同じ価値観を求める人もいます。
実はその背景には、「良い行いをすれば報われる」という「公正世界仮説」と呼ばれる考え方が関係しているような気がします。

