「失われた30年」を象徴するフジの姿

そして同時に、ガバナンス改革の先導者的役割を果たしてきたと自負する村上氏も、実は自分さえ儲かれば他の株主にはお構い無しの「濫用的買収者」「反市場的投資家」の側面を併せ持っていることを露呈したといえます。

大量のお金
写真=iStock.com/studiocasper
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森生明『会社の値段[新版]』(ちくま新書)
森生明『会社の値段[新版]』(ちくま新書)

公共性を盾に進化・変革を怠ってきたオールドメディア業界には外圧が必要で、業界再編M&Aが起こるべき業界だとファンドの目に映ったのは理解できます。彼らに多額の「手切れ金」を支払ってお引き取りいただくという発想は、昭和の総会屋対応を彷彿させます。

コムキャストの買収提案を退けると同時にアイズナー会長を退任させた後のディズニーが20年間で大きく躍進し、同じ時期にドラマや音楽で韓国勢がグローバル進出しました。

これに比べ、フジMHDが、20年前のライブドア、今回の村上ファンド撃退のために数千億円を費やす保守的・内向き姿勢は際立ってみえます。これが失われた30年間を象徴する、日本企業の1つの姿だといえるのかもしれません。

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