サバ缶ブームに感じた“悔しさ”

酒のつまみとして有名なことから、中年男性の食べ物というイメージが根強い。一方で、発売当初から変わらない利点もある。

「魚肉ソーセージは1950年頃に発売が開始され、1970年代にピークを迎えました。当時は、手軽にタンパク質を摂取できる食べ物でもありました。もちろん、魚が持つほかの栄養素も摂ることができる食品です。この点は、発売から現在までずっと変わりません。しかし食の欧米化や多様化が進むなかで、人気という面では、徐々に後景に退いていくことになりました」

本来ならば魚肉ソーセージは花形。しかし悔しさや忸怩たる思いを経験することもしばしばあった。

「サバ缶がブームになったとき、魚肉ソーセージは『在庫あります』という状態で。社内で比較されることもありましたね」

付加価値をつける努力も必要だが、それ以上に必要なのは、商品が本来持っている価値を広く浸透させることなのではないか――。捲土重来の兆しは2000年代中盤以降にやってきた。折しも2000年に厚生労働省(当時)から「保健機能食品制度」が創設されるなど、日本列島全体で健康志向が高まりを見せていた。

魚肉ソーセージには「中年男性のおつまみ」というイメージもあった
撮影=プレジデントオンライン編集部
魚肉ソーセージには「中年男性のおつまみ」というイメージもあった

「中年男性のおつまみ」からの脱却

「中年男性のおつまみというイメージに留まるのではなく、弊社がこれまでずっと大切にしてきた魚の栄養素によってお客様に健康になってほしいという願いはありました。魚は本来健康的な食べ物ですから、その事実を打ち出していけないかと考えたんです。くわえて、より健康という側面を深めていく努力もしました。2005年には、魚肉ソーセージ業界で初めて、弊社のリサーラソーセージが、中性脂肪を下げる特定保健用食品(通称トクホ)として認可されたのです」

たしかに2005年発売のリサーラは、魚肉ソーセージ初のトクホとして「市場に大きなインパクトは残すことができた」(同社)という。だが、中性脂肪対策としてのトクホの製品は、様々な商品でも展開されている。「魚肉ソーセージの消費の減少に歯止めをかける」(同社)には、さらに独自の価値を打ち出していく必要があった。

先人たちが築いていた路線をどう飛躍させるか。綿引さんが部署に来た当時も、どうすればより広く手に取ってくれるかを考え続けたという。