50~60代の「既存のメイン顧客」によりアプローチ
一般的に、縮小傾向が続くと「若者向け」という施策で新しい顧客を狙おうと走りがちだ。だが、綿引さんたちはあえて、既存のメイン顧客である50~60代の悩みにより応えようとする道を選んだ。
「50~60代であれば、健康診断などで高い数値が出て、健康の悩みを抱えているだろうと考えました。だからこそ、従来食べていただいている層にしっかりアプローチしていこうと考えたんです」
それが結実したのが、2024年に発売した「DHA入りリサーラソーセージω(オメガ)」という商品だ。これは、日本で初めての「心血管疾患の疾病リスク低減表示特定保健用食品」を取得している。簡単にいえば、医薬品ではないにもかかわらず「将来、心血管疾患になるリスクを低減する可能性がある」旨の表示が可能になったのだ。1本(50g)あたりにDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)を効果が見込まれる量を配合していることが根拠となっている。
“健康の悩み”に応える商品で回復基調に
トクホとして打ち出すためには、国が定めた厳格なルールに沿う必要があったという。
「トクホ取得の際には消費者庁の許可を得ることが必須ですが、効果を謳う以上は、医薬品と混同されるデザインであってはいけない。たとえば、商品名を金色にして目立たせる、などのデザインも不適切です。そうしたさまざまな角度から社内で検討をして、結果的に、デザイン案は50パターン以上に達しました。
どのようにすれば医薬品ではなく食べ物であることが伝わり、かつ健康にも資することがすぐに理解してもらえるか――という視点で社内で議論を行いました。そして試行錯誤の末、背景に少しグラデーションをかけて、文字を立体的にした現在のデザインにたどり着いたのです」
一般に、日頃の運動に加えて、DHA・EPAを含む健康的な食事を摂ることによって、動脈硬化の原因となる中性脂肪の低下、血管の健康維持が可能となり、心血管疾患のリスク低減につながることが知られている。消費者の健康志向に寄り添い、突き詰めることによって、これまでの魚肉ソーセージの歴史を変える商品が誕生した。
さらに、このトクホの商品のヒットで終わり、ではなかった。課題は「今回新たに魚肉ソーセージを買ってみようと思ったお客様に継続して食べていただくこと」(同社)。それらは、健康の悩みに応える商品の拡充という形で表れている。たとえば、皮膚の健康維持に着目した「おはだのごちそう D-HADA」(2025年春発売)や、1本で1日分の鉄分が取れる「MSC FE-BAR」(2025年秋発売)だ。
魚肉ソーセージを“おつまみ”や“おかず”ではなく、消費者の健康の悩みに応える食べ物に引き上げ、新たなニーズの掘り起こしに挑戦していると言える。

