生成AIは、日に日に進化し、職場での利用頻度も激増している。たしかに作業時間は削減される一方で、「ヘビーユーザーほど残業時間が長い」という調査結果が報告された。AIの活用は職場にどんな影響を及ぼしているのか。

正社員の4割が生成AIを使っている

生成AIを使えば仕事は楽になる、と考えている人は多いはずです。パーソル総合研究所が2025年10月に全国の就業者1万9855人を対象に行った調査でも、生成AIを使った業務では所要時間が平均16.7%削減されていました。ところが、業務時間が減ったと実感している人は、利用者全体の25.4%にとどまりました。

この調査を始めた背景には、昨年、生成AIをめぐる話題が一気に広がったことがあります。働き方の面でも、雇用への影響や大幅な効率化をめぐる議論が数多く見られました。

ただ、膨らむ期待ほど、現場の実感は単純ではないと私には思えていました。

生成AIの利用で捻出された時間が余暇などに変わるのではなく、別の仕事に埋め戻されているだけではないか、と感じたからです。

そんな疑念を確かめるために、日本の職場で何が起きているのかを、人材マネジメントの視点から調べることにしたのでした。

調査結果から見えてきたのは、まず生成AIの想像を超える広がりでした。

チャットGPTが登場したのは22年11月、GPT-3.5がリリースされ、国内での利用が急増したのは24年でした。3年足らずで全国の就業者の32.4%、正規雇用者に限ると41.9%が業務で生成AIを使っていることがわかりました。

ただし、その中身には濃淡があります。私たちの調査では、少しでも業務中に触れていれば「利用者」に含めています。そのため、日常的に使いこなしている人は、まだ限られています。実際、週4回以上使う「ヘビーユーザー」は、1割台にとどまりました。

利用の広がり方にも偏りがありました。年代別では若い世代ほど利用率が高く、企業規模では大企業ほど利用が盛ん。都市部と地方では利用割合に2倍以上の開きがある県も見られました。このように生成AIの利用は確実に広がっていますが、その広がり方は一様ではありません。使う人と使わない人が分かれているだけでなく、使ってはいても日常業務に深く組み込めている人は、まだ少ないのです。

一方で、利用が広がりきらない理由もはっきりしました。非利用者に共通して多かったのは「自分の仕事にはそもそも必要ない」「どう使えばいいかわからない」という意見です。つまり、拒否感が強いというより、使う意味と使い道が腹落ちしていないのです。

(構成=渡辺一朗 イラストレーション=村田篤司)

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