乗降客2万人の駅に「ポツンと一軒家戦略」
神田がコロナ禍でもう一つ仕掛けたのが、「ポツンと一軒家戦略」だ。
ハイデイ日高ではこれまで乗降客が3万~4万人の駅を出店の目安としていたが、「ポツンと一軒家戦略」では、乗降客2万人の駅の小さな町でも出店しようという意欲的な試みだ。
しかしながら、神田はこの「ポツンと一軒家戦略」を成功させるのは、これまでの「株式会社」方式は限界で、新しいコラボレーション(協業)方式が必要だと考えている。
「乗降客2万人の駅では儲からないので、まず競合店は出店しないでしょう。仮に日高屋が出店すれば約30人の雇用が生まれます。高齢化社会が進む中で、日高屋は町の人々の交流・親睦の場となり、食のコンビニになればいいと思います。
日高屋は、地域の活性化、地域住民の生活・食のインフラとして活用できます。私は地域社会(市・町・村)や行政機関を含め、従業員、顧客、取引先、株主だけでなくステークホルダー全員で持続可能な経営を模索すべきだと思います」(神田)
「餃子の王将」「幸楽苑」らと競合に
2022年(令和4年)2月期の出店数は24店舗。それまで駅前一等地に絞って出店してきたが、この期では6店舗が「岩槻インター店」「小田原飯泉店」などロードサイド店であった。
神田は「ちょい飲み」を強みとする日高屋のロードサイドの出店には積極的ではなかったが、3年足らずのコロナ禍が神田の心境を変えたのである。
「日高屋」はロードサイドに出店し、「餃子の王将」(株式会社王将フードサービス)や「幸楽苑」(株式会社幸楽苑)、すかいらーく(株式会社すかいらーくホールディングス)グループの中華料理業態「バーミヤン」などと競合するようになった。
ハイデイ日高の2023年(令和5年)2月期の売上高は約381億円、営業利益は6億円強の黒字(前期は35億円の赤字)で、3期ぶりに黒字転換した。2022年3月以降、新型コロナウイルス感染拡大に伴う行動規制の緩和で客数が増えた。2022年8月に主力業態の「日高屋」で約9割の商品を5%程度値上げしたことも寄与した。
その後、ハイデイ日高は業績を回復させ、2024年(令和6年)2月期には売上高約487億円を達成し、過去最高を更新した。営業利益も653.2%増の約46億円となり、大幅な回復を見せたのである。

