イラン攻撃がもたらす「三重苦」のインフレ圧力
【西田】イラン攻撃の影響で、原油価格がすごいことになっていますね。
【安田】ええ。一時は1バレル100ドルを一気に超え、その後は少し下がったとはいえ高止まりが続いています(対談は2026年3月18日に収録)。私は車を運転しないので今のところまだ実感はないのですが、運転する西田さんなんかは直撃ですよね?
【西田】本当に困りますよ。政府が補助金を出したことで、現状のレギュラーガソリン価格は170円くらいですが、その前は200円を超えていました。補助金が出る前に給油したところ、満タンで1万円近い出費に……。
【安田】原油価格が1バレルあたり1ドル上がると、日本のガソリン価格はだいたい1リッターあたり1円上がると言われています。イスラエルとアメリカがイランに攻撃を加える直前、2月27日の段階では1バレル63ドルぐらい。そこから30〜40ドルほど上がったので、補助金がなければガソリン価格は190~200円台が定着しそうなところですかね。
【西田】原油価格は様々なモノの値段にも直結してきます。ガソリンはもちろん、ナフサが枯渇してきてプラスチック製品が大丈夫かという声もある。世界各国、あらゆる産業で混乱が生まれていると感じますが、安田さん、これって経済的に非常にまずい状況なんじゃないですか?
【安田】おっしゃる通りですね。中東情勢の不安定化は、経済にとって「三重苦」をもたらしています。
【西田】三重苦?
【安田】1つ目は、お話しいただいたガソリン代や発電コストといった「エネルギー価格」の直接的な上昇です。2つ目は、それに伴う国内の「輸送費」の上昇。さらに3つ目に、「輸入品価格」の上昇もあります。原油が高騰すれば、海上輸送のコストも世界的に押し上げられます。日本は輸入大国ですから、あらゆる輸入品の価格にその影響が乗ってくる。エネルギー価格が上がり、輸送コストが上がり、輸入品価格も上がるという三重苦で、インフレのプレッシャーは今後さらに高まっていくことが予想されますね。
【西田】日本は発電も化石燃料に依存していますから、電力や液化天然ガスの価格にも波及していくでしょうし……。仮に停戦しても、ホルムズ海峡の安全が即座に確保されるかも疑わしいですよ。中東から日本へのタンカー輸送には約3週間かかるそうですから、攻撃直前に出発した船が到着した後、後続が途絶えているという状況が現に起きているわけで。
【安田】日本の石油の備蓄は254日分と政府からはアナウンスがありましたね。高市政権としては、まず国民を安心させることを選びました。これはそれなりに評価に値すると思いますが、一方で後に述べるような問題もはらんでいそうです。
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