非常に興味深かったKfW
16の州が地方政府として機能しているから、ドイツ連邦政府としての仕事は、“大がかりなもの”だけになる。たとえばライン川が洪水に見舞われるなどの大規模災害が発生すれば、やはり国で対応せざるをえない。旧東西ドイツの統合、ユーロ諸国の救済、アフガン派兵なども当然、連邦政府の案件だ。
本来なら通貨の発行や為替政策も国の管轄だが、EU共通通貨ユーロの導入で様変わりした。ドイツの中央銀行はフランクフルトにあるブンデスバンク(ドイツ連邦銀行)。今回の研修旅行で訪ねると、「昔と今では役割が違う」という説明を受けた。
EU諸国では1999年の通貨統合で、各国の通貨に関する権限が欧州中央銀行(ECB)に移譲され、以降、各国の中央銀行は、いわばECBの主要株主のような立場になった。
なかでも資金力が大きいブンデスバンクは最大株主のようなものだ。同じフランクフルトに本店を置くECBが誤った政策を採らないように、株主としての権限を行使するのが現在のブンデスバンクの役割だという。
もう1つ、非常に興味深かったのがKfW(ドイツ復興金融公庫)という機関である。もともとドイツ経済の復興資金を調達する目的で設立された組織で、アメリカのマーシャル・プラン(欧州経済復興援助計画)の受け皿になった。
日本はアメリカからもらった復興資金を使い切って戦後復興の足がかりにしたが、ドイツの場合はKfWが復興資金を低利で貸し出したのだそうだ。
ドイツ経済が復興してローンを回収できるようになったら回収して、今度はそれを中小企業の育成のために回すなどして、常にドイツ経済の成長と発展のために資金を循環させてきた。一方で、KfWはかつての日本興業銀行(現みずほ銀行)や日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)と同じように債券を発行して世界中から資金調達を行っている。