お風呂もない、シャワーもない

旅先で温泉にゆっくり入るのを楽しみにしている人、多いのではないでしょうか。温泉や大浴場でなくても、1日の終わりに湯船につかるのは、日本人にとっては最高のリラックスタイムです。

風呂
写真=iStock.com/stevecoleimages
※写真はイメージです

けれど残念なことに、宇宙にはいまのところ温泉や大浴場はなく、ISSにはシャワーすらありません。ISSにシャワーがない理由はおもに二つあります。

一つは、水は貴重な資源であり、飲料水以外の水はできるだけ節約する必要があるからです。もう一つは重力の問題です。地上では、蛇口をひねれば水は下に流れます。当たり前すぎて考えたこともないかもしれませんが、これは重力がはたらいているからです。

では、無重力状態で蛇口をひねったら水はどうなるのか。四方八方に飛び散り周囲一帯がびしょぬれになります。こうした理由から、ISS内にはお風呂やシャワーだけでなく洗面台もありません。

お風呂やシャワーがないISSはある意味、風呂キャンセル界隈やシャワーキャンセル界隈の人にとっては理想的な環境かもしれません。

ただ、短期滞在ならともかく、長期滞在で髪や肌を汚れたままにしていたら雑菌が繁殖して皮膚トラブルに見舞われるかもしれませんし、悪臭を放ってほかのクルーに迷惑をかけてしまう可能性もあります。

タオル3枚を使いこなす「入浴ルーティン」

そこでISSでは、次のような手順でからだをきれいにしています。まずは、オールインワンのドライシャンプーと、ボディソープを含ませたタオル1枚、お湯を含ませたタオル1枚、乾いたタオル1枚を用意します。

次に、ビニールカーテンで仕切られた「シャワールーム」に入ります。「シャワールーム」と呼んでいますが、実際にはシャワーはありません。

シャンプーを髪と頭皮にまんべんなくつけ、からだはボディソープを含ませたタオルで拭きます。そのあと、お湯を含ませたタオルで全身を拭き、最後に乾いたタオルで拭き取ったら完了です。

宇宙での滞在が長くなるほど、シャワーを浴びたい、お風呂に入りたいという欲求は高まってきます。それは過去の宇宙飛行士たちも同様だったのでしょう。じつは、宇宙ステーションにシャワーが設置されていた時代もあったのです。