新NISA制度の導入で、投資をする人が増えている。「オルカン」の生みの親として知られる三菱UFJ アセットマネジメント前常務の代田秀雄さんは「使うつもりで準備してきたはずのお金が、最後まで使われないまま残ることがある。日本人にとって、資産をどう取り崩していくかが課題になる」という――。

※本稿は、代田秀雄『オルカン思考 世界経済を味方につける「長期投資」の教科書』(Gakken)の一部を再編集したものです。

硬貨に座った老夫婦のフィギュア
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「お金を増やすこと」はゴールではない

資産運用は、将来の安心をつくるためにあります。けれど、その安心はゴールではありません。その先にあるのは、よりよく生きること。そして、人生を味わうこと。人生は、あとからまとめて楽しむことはできません。

楽しみや経験は、時間の流れの中で、少しずつ、分散して味わうものです。若い時期にしか得られない経験もあれば、年齢を重ねたからこそ、深く味わえる楽しみもあります。だからこそ、お金もまた、人生の時間軸に合わせて配分していく必要があります。

使うために増やし、増やすために使う。積み立てながら使い、使いながら積み立てる。そのバランスを、年齢やライフステージに応じて考え続けていく。それはすなわち、数字を追いかけるための投資ではなく、自分の人生を支えるための投資です。

私がオルカンでやりたかったことは、お金を増やすことそのものではありません。人生のそれぞれの段階で、「やりたいことを、やりたいと思えたときに選べる」、その自由を支える土台をつくることでした。

この本が、お金をどう増やすかだけでなく、どう使い、どう生きていくかを考えるきっかけになれば、これほど嬉しいことはありません。

本書では、「増やす」と「使う」のバランスについて書いてきました。では実際に、資産をどう取り崩していけばよいのでしょうか。