「怒っている」では改善・成長しない
実際のケーススタディを元に考えてみましょう。
メンバーに今週中を期限として資料作成を依頼した。しかし、メンバーは期限を過ぎても資料を提出してこなかった。事前連絡もなし。マネジャーが確認をしたら「すいません。抜けていました」という返答があった。
【前提】感情のままに、フィードバックしない
ギャップ・フィードバックの具体的なステップに入る前に、押さえておきたい大切な前提があります。
それは、イライラした感情のままフィードバックに入らないことです。このシチュエーションのような「連絡もなく抜けていた」という場面では、マネジャーによっては、イライラし感情的になる人もいるかもしれません。
その感情を直接ぶつけてしまうと、相手には内容より「怒っている」というメッセージだけが伝わってしまいます。これでは、改善・成長は起こりません。
大切なのは、この出来事を「問題」ではなく、「育成のチャンス」として捉え直すことです。「なぜできなかったのか」を問う前に、「ここから部下は何を学べるか」「どんな成長につなげられるか」という目的に立ち返る。そのためにも一度、自分の感情を落ち着かせることが重要です。
イライラした時「心の中でつぶやく一言」
・一度席を外す
・水を飲む
どんな方法でも構いません。「今の自分は感情的になっていないか」を確認し、落ち着いた状態に戻すことが先決です。私自身、イライラを感じたときは「来たな、これは育成のチャンスだ」と心の中でつぶやくようにしています。すると、不思議と視点が切り替わり、感情に飲み込まれずに済みます。
以前、ある上司から「マネジャーは、機嫌よくいなさい」という言葉を教えてもらいました。マネジャーが不機嫌で感情的になると、相手は恐れや防衛に入り、学びを受け取れなくなってしまうからです。ちなみに、これは、感情を押し殺せという意味ではありません。
ギャップ・フィードバックは、部下を追い込むためのものではありません。成長を支援するためのものです。だからこそ、感情ではなく、目的に立ち返る。「ありたい自分」「なりたいマネジャー像」を思い出す。その状態に整えてから、次のポイントを意識して伝えてみてください。

