ギャップ・フィードバックの「鉄則」とは

1.個別で伝える環境設定

メンバーに「ちょっと話す時間がある?」と声をかけて個別で話せる環境に移動します。ポジティブ・フィードバックは大勢の前でしてもよいのですが、他の人が聞いているところでギャップ・フィードバックすると自尊心が傷つき、欲求が満たされません。苦言を耳にする周りの人もいい気持ちにはなりません。ギャップ・フィードバックは一対一で行うのが基本です。

オフィスで話し合うビジネスマン
写真=iStock.com/fizkes
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2.状況説明を促す

まず頭ごなしにフィードバックせず、状況説明を促します。本人に事実確認し、説明してもらうのです。

「この前、資料の作成をお願いして、今週中に出すことになっていたよね。事実として今は提出されていないんだけど、あなたに何が起きたのか、説明してくれる?」

本人の認識を把握することが目的です。憶測や解釈だけでフィードバックしないこと。事実に基づいてフィードバックを行うことが鉄則です。

ギャップ・フィードバックでは先に会話のボールを相手に渡します。本人もミスをしていることはわかっていることが多いので、いきなり「期日を守ってないよね」と始めてしまうと叱られることへの自己防衛が始まり、本人の成長・学習の機会となるような情報提供が果たされないからです。

大事なことはポーズで聞くのではなく、「真剣に事実を把握しよう」「メンバーの認識をまず理解しよう」と耳を傾けることです。

また事実はさまざまな面で具体的に把握します。いつ取り組んだのか、周りにどのような影響が生まれたのか、時間はどのくらい費やしたのか。「どうせ期待していないくせに……」「上司としての体面を保つために叱っているんだろう」「私に興味ないくせに、仕事だから怒っているだけだろう」といったように、根本の信頼感が欠如していたら、どんな言葉もメンバーの心には入っていきません。

3.Iメッセージでマネジャー側の認識を伝える

次はマネジャー自身の認識を伝えます。相手が伝えてきた事情の内容次第ですが、それでも依頼したタスクを実行しなかった事実があるわけですから、それに対してマネジャー自身はどう感じているのか、Iメッセージ(“私”を主語とした言い回し)で伝えます。

「事情は理解しましたが、抜けていたというのは私としてはショックです」
「◯◯さんならやってくれると思っていたので、未着手というのは悲しい気持ちです」
「資料が作成されていなかったこと以上に、連絡が何もなく今日を迎えていることはとても残念です」

目的は本人の成長、組織のパフォーマンス向上につなげることです。マネジャーの率直な所感や感情はそう感じたのは事実ですから貴重な情報になります。ただし、決してそれを感情的には伝えません。情報提供として所感を落ち着いて伝えるのです。

メンバーの未熟さをサポートするのがマネジャーの仕事です。ミスや問題が起きたら育成のチャンスと捉え、学習の機会にする意識でIメッセージで伝えます。