「普段使いの食事処」として受け入れられた理由

「資さん」はなぜ、「資さん」を知らない人々にも、普段使いの食事処として選ばれるのか? その理由は、「安くてハズレのない“和食ファミレス”」であるからだろう。

「資さん」で提供されるのは、長さ14cmの巨大ごぼ天(ごぼうの天ぷら)が5本も載った「ごぼ天肉うどん」など、うどんメニュー……だけではなく、天丼・かつ丼をはじめとした丼物、ぼた餅・サンデーなどのスイーツ、その他100種類以上のメニューが並ぶ。

価格も1杯400円台の「かけうどん」から、セットは700円~1000円程度と、値上げラッシュが激しいいまの時代としてはお財布に優しい。丸亀製麺・はなまるうどんよりもはるかにメニューが充実している上に、4人~6人掛けのボックス席で家族・友達とくつろぐような、ファミレス然とした使い方もできる。

肉ごぼ天うどん
筆者撮影
長さ14cmの巨大ごぼ天が乗った「肉ごぼ天うどん」

ファミリーにも、深夜ファミレス族にもピタリ

メニューが豊富なお陰で、数人集まっても「あれが嫌いだから行かない」という事態が起きづらく、家族・仲間で集まったら「どこに行く?」「とりあえず『資さん』!」で、行き先の話し合いが済む。こういった流れで「資さん」が選ばれやすいのは、九州ローカルであった頃と一緒だ。

そして「資さん」の存在は、ガストをはじめとする洋食ファミレスで育ってきたファンにもありがたい。ハンバーグ・ステーキを中心とした脂っこい食事を好んでいた人々は、年齢を重ねて和食の「資さん」を好むようになり、数時間も粘る暇がなくなったためか、ドリンクバーすら不要、という人々も多い。

結婚や子育てによって、ファミレス来店の動機が「個人の“ダべり”」から、「家族で食事をする時間」」に変わった人々にとっては、出汁味がメインの和食を食べながら、ほどほどにくつろげる「資さん」は、有り難い存在なのだ。

こういった、むかし「深夜ファミレス族」と呼ばれていた人々にとって、「資さん」が持っていた「和食・安い・それなりに落ち着ける」といったピースが「ピタッ」とハマった、だからこそ、「資さん」は首都圏に進出してすぐに、常連客を囲い込むことができたのだ。

資さんしあわせセット
筆者撮影
資さんしあわせセット

真似をするライバルがいない

競合各社が和食メインのファミレスを立ち上げれば、「資さん」は一瞬で駆逐されそうにも見える。ところが、「資さん」のスタイルは、なぜか「マネされない」。これも強みだ。

まず、外食業界のなかで、「格安タイプの和食ファミレス」自体があまり存在しない。ガストなどの洋食ファミレスは、コンベアオーブン・オートフライヤーなどをアルバイト店員が駆使して一括調理することでコストを下げているのに対して、和食だと天然の昆布・カツオなどからの出汁取り、卵とじ・天ぷらなど、一定の熟練技を要する上に、人件費コストや食材管理の手間もかかる。