一般的な和食メイン店舗だと、かかるコストを転嫁するため、高級路線にならざるを得ない。従来の和食ファミレスとしてあった夢庵・さとなどが伸び悩むのは、単純に「価格が高すぎる」「日常使いができず、常連客が寄り付かない」といった理由があるのだ。
原点は「北九州市民のムチャブリ」
その点「資さん」は、利益率が高く即座に提供が可能なうどんをベースにしており、サッと揚がるごぼ天、作り置きができてサッと出せるおでん・ぼた餅などのおかげで、厨房のオペレーション効率が際立って良い。
以前にお話を伺ったところ、出汁もカツオ・シイタケなどをベースに、1日何度も多量に取るノウハウが完全に出来上がっており、深夜・早朝も営業しているため、「100種類以上のメニューを毎日仕込みながら、遅くとも数分内に提供できるノウハウ」が定着しているそうだ。
また、創業者・大西章資さんが築き上げた「オペレーションの伝統」も、いまの「資さん」に寄与している。
鉄工所が林立する技術の街・福岡県北九州市で創業しただけあって、「すぐ提供してほしい」「早朝・深夜にも店を開けてほしい」といった要望に応え続け、「ついでに丼物を食べたい」「甘い物も欲しい」「家族で来たいからテーブル席も欲しい」といった“無茶振り”に応えた結果、提供スピードを保ちながらメニューも進化していったそうだ。
うどん店は「個食」の象徴でもあり、経営的に成長したとしても「速い・うまい・安い」とは逆方向のファミレス業態に進化することはないのは、丸亀製麺・はなまるうどんを見ても分かるだろう。他社がマネできない「資さん」のスタイルは、創業者・大西さんがひたすら“無茶振り”に対応したことから生まれ、結果として「和食ファミレス」として差別化の要因ともなったのだ。
また蛇足ではあるが、「うどん店の和食ファミレス化」に舵を切ったのが、「資さん」とおなじ福岡県発祥の「ウエスト」や「うちだ屋」であった、という事実にも注目したい。家族での食事・会食好きな九州・福岡県ならではの、独自の進化ではないのか? と筆者は感じるが、気のせいだろうか?
すかいらーくの「空きポジション」を埋めた
2024年に「資さん」を買収したすかいらーくHDとしても、「資さん」に240億円を投じて迎え入れるだけの価値があった。ガスト・バーミヤン・しゃぶ葉など20以上のブランドを擁する同社のなかで「資さん」は「経営上の“空きポジション”を見事に埋める存在」だったのだ。



