遺骨の一部を手元に置く新習慣

また、回答者の約半数が「遺骨がそばにあると故人が近くにいるように感じて安心する」「遺骨の存在が心のよりどころになる」と捉えていた。そもそも故人との関係性が、死後もなお持続していると考える日本人遺族は多い。配偶者を亡くした人を対象とした調査によれば、死別から2年以上が経過した人の約7割が「故人が自分を見守り、助けてくれているように感じる」と回答していた。故人の一部である遺骨がそばにあることで、その存在をより身近に感じ、強い安心感が得られるのかもしれない。

近年では、伝統的な死者儀礼に加え、故人をいつも身近に感じていたいという遺族の願いに応える形で、「手元供養」と呼ばれる新しい追憶の形態が広まりつつある。遺骨の一部を専用の納骨容器に入れて自宅に置いたり、遺灰を収納したペンダントやリング、遺骨の成分で作られた合成ダイヤモンドなどを身につけたりする人も見られる。

妻をがんで亡くした60代男性は…

遺族の中には、亡き人への想いが募るあまり、遺骨を食べたいと思う人や、実際に口にした人もいる。妻を大腸がんで亡くした60代の男性は、こう語ってくれた。

「四十九日の法要が終わったと同時に、それまで家にいてくれた息子が東京に帰っていきました。妻の骨つぼを前に一人でいると、さみしさがあふれ出してしまって、息子の前では我慢していた涙が止まらなくなりました。なんとかして妻に会いたいと思って、骨つぼをそっと開けてみました。もちろん、そこには変わり果てた妻の姿しかありませんでした。ですが、その変わり果てた妻でさえも愛おしく、小さなカケラを取り出して、そっと口に入れてみました。今となっては、どうしてそのようなことをしたのか、うまく説明はできません。ですが、小さな小さな妻が、私の身体の一部になったようで嬉しかったのです。今も思い出すと、心がじんわりと温かくなります」

手を合わせる人
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