腸のバリアが失われるリーキーガット

大量の糖が腸内に流れ込む、あるいは食後に血糖が大きく跳ね上がると、腸の壁は物理的にも化学的にもストレスを受けます。過剰な糖摂取や高血糖そのものが腸のバリアを緩め、腸内細菌叢を乱し、結果として毒素や未消化の食事が腸壁をすり抜けることを許してしまう事態が起きてしまいます。

この腸本来のバリア機能が失われ、本来通してはいけない物質が腸をすり抜けてしまう状態のことを“リーキーガット(Leaky Gut:leaky=漏れる、gut=腸)”と呼ばれますMolecules. 2023 36677677。リーキーガットは通称で医学的には腸管の透過性の亢進こうしんのことを指します。

お腹をおさえる女性
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砂糖類の摂りすぎはやはり有害

過剰な砂糖類(ショ糖・果糖・グルコース)や精製炭水化物の摂取は、近年、その有害性が強調されており、腸のバリア機能にも悪影響を及ぼしうることがわかってきました。高糖質食や高血糖状態は腸管上皮のバリアを乱し、リーキーガットを亢進させ、腸内細菌叢の異常(ディスバイオシス)を引き起こすことが報告されていますClin Gastroenterol Hepatol. 2022 34902573。こうした腸内環境の変化は腸の免疫を撹乱し、感染症を引き起こしたり炎症を起こしやすくなったりします。

マウスに砂糖たっぷりの餌を与えるとわずか2日で有益なSCFA産生菌(例えば酪酸産生菌)の減少と悪玉菌の増加が起こり、腸内SCFAの激減とともに腸管透過性が増大しましたSci Rep. 2019 31444382。高糖質食ではプロテオバクテリア門(LPS=エンドトキシン(毒素)を持つ菌群)の異常増殖と、逆に腸のバリア機能を補強するバクテロイデス門の減少が起こると報告されていますISME J. 2012 22258098

プロテオバクテリア由来のLPSは炎症性物質の産生を誘導し、腸の細胞同士の密着を崩壊させて透過性を高める機序が起こることが研究で示されています。つまり高糖質の食生活は腸内細菌叢を炎症促進的な構成に偏らせ、腸粘膜のバリアを弱めてしまうのです。