神奈川県警が交通違反を不正に取り締まっていたとして県警本部長が謝罪した。桜美林大学准教授の西山守さんは「これは不正を働いた警察官個人の問題でも、組織の問題でもない。SNS上で表出していた『間違った正義感』がいよいよ現実にも振りかざされた、特殊な事案だ」という――。
不正取り締まりの動機は「間違った正義感」
神奈川県警で大規模な不正が発覚した。
交通違反取り締まりなどにおいて不適切な捜査や証拠処理が行われていたことが発覚したことを受け、神奈川県警の今村剛本部長は臨時記者会見を開き、2716件の交通違反を取り消し、交通反則金約3400万円を返還することを発表し、謝罪した。
注目すべきなのは、不正を主導した巡査部長(懲戒免職)は、成績優秀者として表彰されたこともある有能な人物であったという点だ。巡査部長は県警の調べに対して、「一件でも多く取り締まりたかった。間違った正義感だった」と述べているという。
成果を上げているように見せかけるために不正を働いてしまうというというのは、さほど珍しいことではない。しかしながら今回の不正は、必ずしも自分の評価や利益を上げるために行われたというわけではないようだ。
また、不正行為は巡査部長個人ではなく、小隊単位7名が2022年3月~2024年12月の約2年半にわたって行われている。ここまでの範囲、期間で行われていたことを考えると、もはや「個人の問題」でもなければ、「神奈川県警」という一組織の問題とも言うことはできない。
本問題について、社会的風潮と組織ガバナンスの問題からアプローチしてみたい。

