「カネ」が目的だった三菱UFJ、プルデンシャルとの違い
神奈川県警の事案は近年明らかになった不正とは異なる点がある。プルデンシャル生命の社員らが顧客から計31億円をだまし取っていたケース、三菱UFJ銀行の元行員が貸金庫から金品を盗んだケースはいずれも動機が「私利私欲」によるものだ。
一方、神奈川県警のケースは、正義感が間違った方向に暴走してしまったため、結果的に不正が行われることになった。どのような組織でも、個人の暴走は起こりうるのだが、不正が起きないような体制を作るのは組織の責任だ。
最近、「ガバナンス」という言葉が頻繁に使われるようになっている。ガバナンスは「統治・管理・支配」を意味しており、組織が持続的な成長と健全な運営を実現するための体制のことを示す。プルデンシャル生命や三菱UFJ銀行など大手企業社員の不祥事も企業ガバナンスの不全が背景にあったことが指摘されている。
最近は「ガバナンス」は企業以外の組織においても重要視されるようになっている。
例えば、相次いで発覚した東大病院での2件の汚職は、病院組織としてのガバナンスの欠如が指摘されている。
国が認定する国際卓越研究大学として、東京科学大学(旧東京工業大学、東京医科歯科大学)と京都大学が候補になっているが、東京大学の審査継続に関して松本洋平文部科学相は「大学の対応がガバナンスに欠ける場合は、打ち切る可能性もあり得る」と発言している。
当然のことながら、警察や消防署、あるいは政党、官公庁、地方自治体といった公共性の高い組織に対しては、厳しいガバナンスの基準が設けられてしかるべきである。
神奈川県警の不正は何が問題だったのか
今回の取り締まり不正の背景には、以下のような組織的な問題があったと考えられる。
1.権力の濫用
2.不正を指摘しにくい閉鎖的な組織構造
3.組織内のチェック体制不足
警察は「国家権力の犬」と揶揄されることもあるが、
●国家権力を背景に市民に権力を行使している
●国家権力に無批判的に盲従している
という2つの批判が込められているように思える。
